… … …(記事全文8,306文字)前回7月29日配信のメルマガでは、日本維新の会の吉村洋文代表によるトンデモ発言を取り上げ、その発言に潜む問題点と危険性を指摘した。今回は、さらに踏み込んだ記事をお届けしたい。
副首都法案に関して7月24日、与党と野党との間で、大阪市廃止・特別区設置構想(いわゆる大阪都構想)の賛否を問う住民投票と統一地方選など普通選挙との同日選を禁止する努力を行なうとの付帯決議がなされた。だが、その直後に維新の吉村代表が「同日選挙を目指す」と発言し、付帯決議を事実上、否定した。立憲民主党や公明党、国民民主党の野党は一斉に反発し、「国会の軽視だ」などと怒りが爆発。また自民党の鈴木俊一幹事長は記者会見で「国会の付帯決議を尊重すべきだ」と述べ、自民党議員からも「副首都法案を採決することについて付帯決議で与野党が合意したのに、吉村代表の発言はそれを台無しにした」という批判の声が聞こえてくる。
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015188061000
今回の付帯決議には「住民投票と地方選挙が重複しないよう最大限調整する」と明記されている。それにもかかわらず、吉村は「同日選を目指す」と発言した。付帯決議の趣旨を事実上否定するものであり、野党側が「国会軽視だ」と批判するのは当然だろう。
一方、吉村の発言に対して維新議員や支持者たちは意に返さない。むしろ「法律で同日選挙は禁止されていないのだから何ら問題はない」といった擁護の声がX(旧ツイッター)で数多く投稿されている。かれらの論拠は、国民民主党と公明党が7月15日に参議院へ共同提出した議員立法「大都市地域における特別区の設置に関する法律の一部を改正する法律案」(同日選実施禁止法案)が否決されたことだ。同法案の否決により、住民投票と統一地方選との同日実施は違法ではないというものである。付帯決議より法律の方が重いのだから、吉村の発言は「問題なし」という主張である。
さらに擁護派は、住民投票をいつ行うかは大阪府・市の判断であり、地方の問題に国会が口を挟むのは越権行為だと批判している。しかし、これらはいずれも間違いであり、論点のすり替えに他ならない。以下、それらを説明する。
まず、付帯決議は法律の解釈や運用に対する国会の意思表示であり、確かに法的拘束力はない。しかし、今回の付帯決議は野党が採決に応じる条件として与野党で合意したものであり、国会審議の信義則を支える政治的拘束力を持つ。実際、野党側は付帯決議がなければ採決に応じない構えだった。それが一転、与野党で合意したことで法案成立の前提条件として機能したのだ。つまり、付帯決議は「法律より軽いオマケみたいなものだから守らなくてよい」という性質のものではなく、国会の意思を示す重要な政治的合意なのである。吉村の発言は法令違反ではなくても、与野党で合意した約束を破ったという意味において明らかな信義則違反である。

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