… … …(記事全文8,941文字)まさか3度目が行われようとは思わなかった。僅差ながら、それまで2度も負けたことで潔く諦めるかと思っていたら違っていた。大阪市廃止・特別区設置構想、いわゆる大阪都構想の賛否を問う住民投票のことである。
2度目の住民投票は2020年11月1日に実施された。だが、このときも1度目(2015年5月17日)に続いて否決され、いわゆる都構想は頓挫したものと思われた。このときは、さすがに3度目はないだろうと楽観していたものだった。当時、大阪維新の会の代表代行だった吉村洋文大阪府知事も、「僕自身は大阪都構想に挑戦することはない」と会見で語っていた。ところが、会見で語ったその言葉も虚しく、いまや吉村は自身の手で3度目の住民投票に着手しようとしている。コロナ禍での「イソジン発言」といい、ここまで言葉の軽い自治体の長も珍しい。
衆院選と同時に行われた2月8日投開票の大阪ダブル選で、吉村は約300万票を獲得して大阪府知事に返り咲いた。約83万票を得た横山英幸も大阪市長に再選された。もっとも、ダブル選では主要政党が対抗馬を出さず、出てきた候補者もさほど知名度があるわけではない。有力な対抗馬が不在だったことで、誰の目にも吉村と横山の当選は確実だと思われていた。事実、そのとおりになった。しかし、ダブル選で再選した吉村は「都構想を進めていいという民意を得た」として、今後は府市の両議会で法定協議会を設置し、来年4月までに3度目の住民投票を行うことを目論んでいる。
ただし、吉村が言う「民意を得た」という言葉はどうにも怪しすぎる。もともと言葉の軽い人物だから、この言葉も信用してはいけない。
ダブル選で吉村らは「都構想を進めさせてほしい」と訴えていた。それは事実だが、その都構想の肝心の中身がさっぱりわからなかった。1度目、2度目のそれとどこがどう違うのか、何が変わるのか、あるいは変わらないのか等々、これがさっぱりわからない。これでは有権者も判断のしようがない。わからないから、いざ投票になると有権者は候補者の知名度で選ばざるをえず、それが吉村の約300万票という結果につながった、前回のメルマガでも指摘したように、この数字は「民意」であっても、人気投票による民意にすぎない。
人気投票を「都構想推進の民意を得た」とすり替える詭弁には恐れいる。この調子では、吉村が主張する来年4月までの住民投票が実施される可能性は高い。途中、維新を含めて政党間の駆け引きはあるにしても、最終的には住民投票は実施されると思ったほうが無難だろう。となると、有権者は都構想の本質と実態をまたまた理解する必要が出てくる。ダブル選と違って都構想の住民投票は人気投票ではない。大阪市廃止と特別区設置の意味を理解し、その是非を大阪市民が見極める必要があるからだ。

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