ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00225/20230202080000105106 //////////////////////////////////////////////////////////////// 吉富有治の魔境探訪 - 政治という摩訶不思議を大阪から眺める https://foomii.com/00225 //////////////////////////////////////////////////////////////// 自民党大阪市議団の北野妙子市議が大阪市長選に出馬の意向というスクープ記事が、2月1日付けの毎日新聞に掲載された。その後、各メディアが確認のため北野本人と周辺を取材したようである。 今のところ本人は出馬について「検討している」と語るのみで確定には至っていない。出馬か、それとも断念かは近いうちに判明するだろう。 私のメルマガは2021年2月3日号からスタートしたのだが、記念すべき第1号は北野市議のインタビューだった。大阪市廃止・特別区設置構想(大阪維新の会がいうところの「大阪都構想」)は僅差ながら反対多数になった。当時、自民党市議団として反対運動の先頭に立っていたのが北野市議である。メルマガのインタビューでは、このときの運動の話や党内の動きなどを聞いている。また私個人の感想として、次回の統一地方選で実施される大阪市長選の候補として同市議がふさわしいと評価もしている。 以下はそのときのメルマガだが、時制や肩書き等は当時のままであることをお断りしておく。 * * * * 北野妙子市議は現在、自民党大阪市議団の幹事長を務め、市会議員として5期目を迎えたベテラン政治家である。昨年11月1に投開票された、いわゆる大阪都構想の是非を問う住民投票では反対運動の先頭に立ち、テレビの討論会などで賛成派の議員らと熱い論戦を繰り返した。 北野市議と話してみて感じたことがある。政治家としてのキャリアは長いが、それでいて政治家特有の垢に染まった様子もない。聡明さと冷静さを備え、政治家らしからぬ純粋さも兼ね備えている。キツネとタヌキばかりの自民党には珍しい。 さて、ここからは個人的な希望として書くが、2023年4月に予定されている統一地方選と同日実施の大阪府知事選、大阪市長選には市長選候補として立候補してほしいと思っている。正直なところ、現在の自民党大阪を見ても府知事選、市長選の候補者になるような人物は北野市議を除いて見当たらない。都構想によって市民の分断が繰り返された現在の大阪で、<分断から調和>へと軌道修正できる政治家として北野市議がふさわしいと思っている。また、それだけの力量と度量が彼女にはある。 とまぁ、このような個人的な思いを赤裸々に書いたところで北野市議のインタビューを読んでいただきたい。 * * * * - あらためて昨年11月1日の住民投票について質問します。反対多数になった理由は様々でしょうが、自民党大阪府連としてどのような動きが勝因につながったと思いますか。 自民党が動いたからとか、あるいはどこの政党や団体のおかげで勝ったというものではなかったと思います。<政党対政党>の戦いならば自民党は物量で維新に負けていたでしょう。そのような単純な構図ではなく、一般の市民の方たちを含め反対派が相当の熱量をもって自発的に行動したことが反対多数になったのだと考えます。 自民党大阪府連としての勝因は何かというと、最終的には「都構想に反対する」という明確な意思決定をしたことでしょう。中には都構想に賛成する自民党府議もいましたが、周辺市にメリットはあったとしても大阪市に軸足を置けばデメリットしかないことを府連として理解し、「反対」の意思を組織統一したのです。だから結果的に府連内部で賛成意見と反対意見が衝突するようなこともなく反対運動に集中できたのです。 - 住民投票運動では積極的に動かなかった自民党議員もいたようですね。 それは知っていました。腹が立つことはありませんでしたが、かといって首根っこをつかまえて「反対運動してください」と言うつもりもなかった。自分たちの運動だけで必死でしたから、(怒る)余裕もなかった。 - 自民党市議団の中で反対運動に消極的だった人はいなかった? それはないと思います。私たちは「みおつくし活動」と銘打ち、市議団全員が昨年6月から反対に向けて動いていました。それぞれの選挙区でビラ等のポスティングや街宣活動もしました。 - 以前、柳本顕さん(元自民党大阪市議)が市議団の幹事長だった時代に、「自分は猛獣使いだ」と自嘲していたことがありました。自民党には様々な考えの人や個性の人がいる。中には扱いに困る市議もいるのでは? そのとおり(笑)。自民党市議団には"個性豊か"な市議が多いから大変です。ただ猛獣使いはアメとムチを使い分けますが、私は怒ったことはありません。頭を下げてばかりしています。私の至らなさが原因のことも少なからずあるからです。 - 今回の住民投票で自民党本部はまったく動きませんでした。本部は大阪府連に資金も出さず、結局、府連は自分たちで5000万円ほど集めたと聞いています。冷たい自民党本部に腹立ちはあるでしょ? はい。正直なところ(腹立ちは)あります。前回の住民投票で党本部は少しは資金提供してくれましたが、今回はゼロ。府連所属の議員がポケットマネーから出し合って運動費用を捻出しました。 運動資金を出してもらおうと党本部に出向いたとき、党の要職に就く某国会議員から「負ける戦に金は出さない」とはっきり言われたようです。その一言は今でも絶対に忘れません。 住民投票が終わって党本部へ挨拶と報告に行ったとき、その国会議員は「負ける戦に金は出さない」と言ったことなどコロッと忘れたかのようだった。むしろ、二階幹事長や菅義偉総理からは「よく頑張ったね」と労ってもらったくらいです。不思議な政党ですよ、自民党は。 - 北野さんが一番文句を言いたいのは公明党だと思います。それまで都構想には反対していたのに突如、賛成に寝返ったわけですから。 小選挙区制度が導入されてから、私の衆院選挙区で自民党候補者の名前は一度も書いたことがありません。候補者は常に公明党で、自民党からは出馬できない、しても公認がもらえない取り決めがあるからです。自民党と深い選挙協力関係がある公明党なのに、住民投票では維新に寝返った。公明党にすれば「これは(住民投票)これ、それは(総選挙)それ」といった考え方なのかもしれませんが、私には理解できません。 ある日、公明党の某国会議員が私の事務所を訪ね、「次の衆院選ではよろしく」と言われました。住民投票で賛成に回ったことを詫びるでもなく、あっけらかんとしていた。その態度に驚き、帰ってもらいました。 公明党は「民意」を都合よく使い分けており、そこが一番腹が立つ。一昨年4月の統一地方選と府知事選、市長選のトリプル選で維新が大勝したことを根拠に、公明党は「民意」を持ち出して都構想賛成へと手のひらを返した。ならば、今回の住民投票で反対多数になった「民意」はどうなのか。市民による直接民主主義が下した絶対民意は、僅差であれ何であれ「都構想反対多数否決」を尊重して公明党は維新に対して堂々と手のひらを返すのが当然のことではないでしょうか。「民意」を尊重することを貫かないとご都合主義とのそしりを免れないと思います。 - 昨年9月に北野さんや柳本顕さん、野村友昭さん(元堺市議)ら3人が次の衆院選に出馬するとの報道(*注1)がありましたが、あれは本気だった? もし衆院選と住民投票が同日実施になれば、公職選挙法の関係で自民党候補のいない私の選挙区ではビラまきや街宣などの都構想反対運動がまったくできなくなる恐れがありました。だったら私が衆院選に出馬することで反対運動を続けようと考えたわけです。あれはフェイクだとか公明党に対する圧力といったものではなく、本気で鞍替え出馬するつもりでした。 実は私の後援会には事前に相談はしないまま報道が先に出たのですが、役員をはじめ皆さんは反対されませんでした。私の覚悟を理解してもらったと思っています。 - 吉村洋文大阪府知事と松井一郎大阪市長は今年2月議会で「広域一元化条例案」(*注2)と「総合区案」(*注3)の条例案を提出し、早くも4月には実施したいようです。 住民投票の結果が出たばかりなのに、あまりにも議会と市民を愚弄しすぎています。もう都構想議論は終わりですと言ったその同じ週の発言です。コロナの変異種と同じで、一元化条例案は都構想の変異種にすぎません。都構想の議論に要した10年間の時間と100億円にもなるという関連予算をドブに捨てるようなもので、これが可能ならば、地方分権の流れに逆行して、どこの都市でも都道府県(上部団体)が市区町村(下部団体)の機能や政策をポンと奪うことができることになる。議会はもっと怒らないといけないでしょう。 そもそも維新がよく使う「大阪市民は大阪府民である」という言葉が一番いけない。わざと錯覚させています。大阪市民は大阪府民であるのは間違いないですが、市民のものは府民のものではありません。文化や伝統、都市の形といった市民が税金を支払って培ってきた市の財産は府民のものではなく市民のものです。自治体経営は府と市で別個のものであり、それぞれの努力によって別々になされていることを、仲が悪いとか二重行政の弊害とかいう言葉で、いかにも情緒的な取り扱いに貶めています。これはまるで、独立した家計を営む親世帯が子世帯の形成した貯金や家や車を理由もなく奪おうとするに等しい。 「大阪市民は大阪府民である」というセリフがもっともらしく思えるのは、大阪府も大阪市も共に「大阪」という二文字が付いているからで、これが錯覚の原因です。「大阪市民は大阪府民である」は、その錯覚を利用したレトリックです。 広域一元化条例案は大阪府による大阪市が持つ財産の略奪でしかありません。しかも2月に条例案を制定して4月から施行というスケジュールはあまりにも急すぎる。何をそんなに焦っているのかと思います。 - 2023年4月には統一地方選と大阪府知事選、大阪市長選のトリプル選挙が行われます。北野さんは次の統一地方選でも引き続き出馬する予定ですか。 議員になってこんなことをやったという足跡か、納得をして自己辞令を出したいと思っています。今回、住民投票運動の先頭に立って運動し、反対多数の結果になったことは自分なりに納得はできました。ただし、それも1週間もたなかった。変異種(広域一元化条例案)との戦いが始まり、辞められなくなったようです。 - 大阪維新の会が府議会と市議会で第一会派になってから約10年が経ちます。その間、自民党大阪は府議会、市議会ともジリ貧の一途です。この原因は自民党そのものにもあると思いませんか。 自民党大阪には負け癖、与党癖が抜けていないのです。そんな感覚を持つ議員は自民党大阪にもいます。中央政界で与党だからでしょうが、大阪では少数野党なのです。野党としての振る舞いが必要なのに、いまだに与党感覚でいることはチャレンジャー精神の妨げになっています。 ただ、国政では今後、特別自治市(*注4)の法整備がおこなわれる予定で、そうなれば私たち自民党大阪市会議員は野党の立場で都構想に代わる大都市制度案として議論を進めていきたいと思っています。もっとも、今は現下のコロナ対策や万博の政策が最優先だということは申し上げるまでもありません。 (注1)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63303010R00C20A9AC8000 (注2)広域一元化条例 大阪府と大阪市を再編し、大阪市が持つ広域行政を大阪府に一元化する制度を条例で定めるもの。大阪府と大阪市は「大阪の成長をよりスピーディーに進めることができる」「広域行政の司令塔が大阪府に一本化されれば、責任主体が明確化し、統一的な戦略のもと、大阪の成長に向けた取組みを迅速に推進できるようになります」と説明している。 https://www.city.osaka.lg.jp/fukushutosuishin/page/0000494150.html#1 (注3)総合区 政令市の行政区を再編し、各区に一定の権限を持たせたうえ一定規模に集約する制度。住民投票が必要な特別区と違って条例で制定できる。大阪市の場合、現在24区ある行政区を8つの総合区に再編するとしている。 (注4)特別自治市 府県から政令市が独立し、これまで府県に渡っていたすべての税や府県の一部業務も政令市に移す制度。政令市の一部の税と業務を府県に渡す都構想とは真逆のもので、今国会で同制度の仕組みが審議される予定。 <なお、この記事の無断転載は固くお断りいたします。> //////////////////////////////////////////////////////////////// 本ウェブマガジンに対するご意見、ご感想は、このメールアドレス宛に返信をお願いいたします。 //////////////////////////////////////////////////////////////// 配信記事は、マイページから閲覧、再送することができます。ご活用ください。 マイページ:https://foomii.com/mypage/ //////////////////////////////////////////////////////////////// ■ ウェブマガジンの購読や課金に関するお問い合わせはこちら info@foomii.com ■ 配信停止はこちらから:https://foomii.com/mypage/ ////////////////////////////////////////////////////////////////

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