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やっぱり地理が好き
～現代世界を地理学的視点で探求するメルマガ～
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第146号（2024年2月11日発行）、今回のラインアップです。
①世界各国の地理情報
～続・要衝を押さえる②～
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こんにちは。
地理講師＆コラムニストの宮路秀作です。
日頃、周りの人たちからは「みやじまん」と呼ばれています。
今回で146回目のメルマガ配信となります。
2月11日といえば、「建国記念の日」です。「建国記念日」ではありません。
それはさておき、日本神話に登場する神の一つにタケミカヅチ（建御雷）がいます。地震の神として知られ、また相撲の元祖ともされる神です。主神として祀られているのは茨城県鹿嶋市の鹿島神宮です。
茨城県といえば太平洋に面する県であり、沖合には日本海溝が縦断して、日本列島の中でも特に地震が頻発する地域です。古代の日本人はプレートテクトニクスなど知らないはずですから、「なぜか大地が揺れる！」と自然に畏怖していましたので、その怒りを鎮める必要がありました。
そんなタケミカヅチの名を持つ競走馬が、かつてJRA（日本中央競馬会）に所属していました。新馬戦を勝ち上がりましたが、その後の重賞レースでは惜敗が続き、明け三歳の二戦目、共同通信杯に出走しました。この時の共同通信杯は2月10日（2008年）に開催が予定されていましたが、雪のため翌日に順延となります。開催日は2月11日、なんと建国記念の日にタケミカヅチが出走するという、まさしく「現実は小説よりも奇なり」を地で行く事態となりました。
5番人気だったタケミカヅチですが、「こんな面白いシチュエーションなら、一着はなくとも二、三着はあるかも！」と、何の根拠もなく思ったわたくしは、タケミカヅチの複勝を3000円買いました。結果は二着、見事12300円（複勝410円）の払い戻しを得ました。完全なる遊びです。競馬ってこういう話が好きな人が結構いるものですし、博打はあぶく銭でやるものです。
こういう目に見えない力を信じるのが宗教といえるのかもしれません。わたくしは神の存在を信じていませんのでなんの信仰心もありませんが、ヨーロッパでは信仰心の違いから戦争が幾たびも繰り広げられてきました。
そして平和への願いは、争いが起きている時にこそ強くなるものです。本来であれば平和な時にこそ、「如何にして平和を維持するか！？」を考えるべきなのですが、結局人間はいつも有事の後追いばかりしています。我々の生活が脅かされる危険性が間近に迫っていても、直接的でない限りそれに気づけずにいるわけです。
それでは、今週も知識をアップデートして参りましょう。
よろしくお願いします！
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①世界各国の地理情報
～続・要衝を押さえる②～
今回は、前号「続・要衝を押さえる①」の続きです。
▼#145：続・要衝を押さえる①
https://foomii.com/00223/20240204220000120026
■オランダの独立と海上交易の拡大
時は遡ること16世紀、この頃のオランダはスペイン・ハプスブルク家の領土となっていました。神聖ローマ帝国の皇帝カール5世（1500～1558）が体調不良を理由に退位し、息子のフェリペ2世にスペインとネーデルラント（現在のオランダ・ベルギー・ルクセンブルクとフランス北部とドイツの一部を含む地域）、弟のフェルディナント1世に神聖ローマ帝国を譲ると、ハプスブルク家はスペイン系とオーストリア系に分裂しました。
フェリペ2世の名前は、後に「フィリピン」の国名の由来となるなど、彼の時代にスペインは「太陽の沈まない国」と称されるほどの繁栄を遂げていきます。現在、フィリピン国民の多くがカトリックを信仰しているのは、熱心なカトリック信者であったフェリペ2世によるところが大きいといえます。
しかし、スペインが支配していた当時のネーデルラントには、折からの宗教改革によってプロテスタントが多数居住していたこともあり、フェリペ2世のカトリック化政策による圧政に反発したプロテスタントとの間に八十年戦争（オランダ独立戦争）が起きます。南ネーデルラントは八十年戦争から離脱してスペインの支配下に留まりますが、1581年にネーデルラントの北部7州がネーデルラント連邦共和国（現在のオランダ）として独立を宣言し、12年間の休戦状態（1609～1621）を挟んだ後、1648年のウェストファリア条約によって国際的に独立が承認されました。
この間、オランダは世界初の株式会社といわれるオランダ東インド会社を設立し、世界へと進出していきました。アンボイナ事件でジャワ島（現在のインドネシア領）から、イングランド王国を追い出し、ここを拠点として香辛料貿易へと力を入れていくと、「オランダ海上帝国」と称されるほどに植民地を拡大していきます。
オランダが香辛料貿易に力を入れていたことを示す話題として有名なのが、「モルッカ諸島とマンハッタン島の交換」ではないでしょうか。1667年のブレダ条約によって、オランダは支配権を有していたマンハッタン島をイングランド王国へと譲渡し、代わりにモルッカ諸島の支配権を得たといいます。モルッカ諸島はナツメグなどの香辛料が自生する島が集まっています。マンハッタン島に存在していた「ニューアムステルダム」は、同島がイングランド支配下となったことで「ニューヨーク」へと名前を変えるのはこの頃です。
マンハッタン島は一枚の基盤岩で出来ているため、岩盤が硬く、高層建築物を建設しやすいという地の利があります。一方の東京は、いわゆる「下町」と呼ばれる地域は荒川が作り出した沖積平野であることから、支持層となる硬い岩盤層が地中深くに存在しており、高層建築物の建設が困難であったといわれています。わたくしが受験生だった時代の地理の入試問題ではちょいちょい出題されていました。
だからこそ、東京礫層という硬い支持層が浅い武蔵野台地に高層建築物が作られ、そこに新宿という街ができるわけです。
▼まさにコンクリートジャングル！ 新宿西口に「超高層ビル」が集中しまくってるワケ
https://urbanlife.tokyo/post/59543/
さて、17世紀初頭において日本と交易を行っていたヨーロッパで唯一の国がオランダでした。当時の江戸幕府は鎖国を敷いていたこともあり、布教と交易をセットで行うカトリックを信仰する国を排除していました。しかし、「布教はしません、交易だけさせてください。だって僕らプロテスタントだもん」というオランダとの交易が認められていたことは、みなさんもご存じの通りです。
こうして海上交易が拡大していく中、この時代を生き抜いた一人の人物がいました。その人の名前はフーゴー・グロティウス（1583～1645）、「国際法の父」と称された法学者です。グロティウスが「国際法の父」と称されたのは、『自由海論（Nare Liberum）』（1609年初版）、『戦争と平和の法』（1625年主犯）という法学書によるところが大きいといえます。
『自由海論』の第1章には、以下の文言が書いてあります。
