Foomii(フーミー)

誰も説明しない日本の現実

山岡鉄秀(情報戦略アナリスト)

山岡鉄秀

イラン攻撃の裏で静かにキューバを締め上げるアメリカ ─ドンロー主義の現実

【3行まとめ】

・米国はイランで大規模軍事行動を行う一方、キューバでは「宣言なき封鎖」を進めている

・キューバの安全保障上の脅威は実在するが、民間人をまき添えにした兵糧攻めは手段として均衡を欠く

・これは日本を含むエネルギー輸入国家にとって、現実となり得る新しい戦争形態である


二つの戦争は同時に進んでいる


今、世界の目はイランに釘付けになっています。

2026年2月28日、米国とイスラエルはイランに対する大規模な共同攻撃を開始しました。「Operation Epic Fury」と名付けられたこの作戦は、最初の12時間だけで約900回の空爆を実施。最高指導者ハメネイ師を殺害し、核施設と軍事インフラを徹底的に破壊しました。


開戦から約4週間。イランの死者は1,750人を超え、イランからの報復ミサイルは湾岸諸国にまで飛び火し、世界の石油市場は激しく動揺しています。しかし、ここで見落としてはならない事実があります。


米国はイランで軍事行動を行う一方で、キューバに対してはまったく異なる形の圧力を同時に進めているという点です。結論から申し上げます。これは偶然ではありません。同一の戦略思想に基づく「二正面作戦」です。


本質:これは封鎖ではないのか


まず確認すべきは、キューバで何が起きているかです。


2026年1月29日、トランプ大統領は大統領令14380号に署名しました。内容は明確です。キューバに石油を供給する国からの米国への輸入品に対して、追加関税を課すというものです。「国家非常事態」の宣言を伴っています。形式上、米国は海上封鎖を宣言していません。


しかし実態はどうか。


ベネズエラからの石油は、1月の米軍によるマドゥロ大統領拘束と軍事介入によって完全に途絶えました。メキシコのペメックス社からの供給も、関税の脅しによって停止に追い込まれました。キューバのディアスカネル大統領は、3カ月間にわたって外国からの石油が一滴も届いていないと述べています。


ニューヨーク・タイムズはこれを「キューバ・ミサイル危機以来、初めての実質的な封鎖」と評しました。全面封鎖ではない。宣言もしない。しかし確実に機能している。これは21世紀型の封鎖です。


構造:なぜ石油なのか


次に戦略の中核に入ります。

… … …(記事全文7,330文字)
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