… … …(記事全文2,614文字)1.変容する米国の世界観と「ドンロー主義」
近年の米国外交を理解するうえで、重要なキーワードとなっているのが、いわゆる「ドンロー主義」です。これは、米国が自国の存立と直結する西半球の覇権確保を最優先課題と位置づけ、そのためには国際法や従来の国際規範にも必ずしも拘泥しないという、きわめて現実主義的な世界観を指します。
この発想に立てば、米国が西半球の秩序維持に注力する一方で、東半球における「世界の警察」としての役割を縮小させていくのは、むしろ自然な帰結であると言えるでしょう。すなわち、米国は「どこでも介入する国家」から、「自国の死活的利益に関わる地域に集中する国家」へと、明確に性格を変えつつあります。
しかし、これは米国が東半球の情勢から完全に手を引くことを意味するものではありません。米国が一貫して許容しないのは、東半球において特定の大国、特に中国が地域覇権を確立することです。この点において、米国は長期的な視野に立った「米中冷戦」を戦う覚悟を、依然として保持していると考えるべきでしょう。
2.台湾問題の戦略的意味
こうした文脈の中で、台湾の地政学的重要性は極めて大きいものがあります。仮に台湾が中国の支配下に置かれれば、

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