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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

【追悼:安倍晋三】暗殺事件から3年、奈良・西大寺で改めて「安倍晋三」を思い起こす。その志を思い起こしそれを今に活かすために、あの哀しき事件を忘れてはなりません。
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【追悼:安倍晋三】暗殺事件から3年、奈良・最大時の地で改めて「安倍晋三」を思い起こす。その志を思い起こしそれを今に活かすために、あの哀しき事件を忘れてはなりません。

 

 

今から3年前の2022年7月8日午前11時31分、安倍晋三元総理が、奈良市の西大寺駅前の交差点で、凶弾に倒れました。

 

あれから3年…もしあのとき安倍さんが撃たれていなかったとすれば、今の日本の政治が内政についても外交についても、ここまで惨憺たるものに堕落してしまっていることなど絶対になかったに違い無いと深くに深く感じています。

 

外交においてはトランプに24%と言われていた相互関税が日米交渉を通して25%に「引き上げられる」ような日本外交史に残る屈辱的大失態等あり得なかったという一点だけでも明らかなように、そして内政においては公明党を含めた全政党が消費減税を主張しているなか自民党“だけ”が消費減税を拒否する公約を掲げるという一点だけでも明らかなように、安倍さんさえご存命であるならそれら最悪の事態は回避できたに違い無かったのです。

 

それは逆に言うなら、安倍晋三に致命傷を与えたあの一発の凶弾によって、日本の歴史は少なくともこの3年間、より悪い、最悪の方向へと転落する事になったということを意味しています。

 

我々は決してそうならぬように、全力を賭して安倍晋三なき後の日本の政治を、日本の歴史を支えなければならぬと一人一人がそれぞれの立場でそれぞれに誓った筈でありますが…誠に情け無き事に当方自身を含めた今を生きる我々の力が不足しすぎていたという事実は認めざるを得ません…。

 

それはつまり、安倍晋三という存在が、平成、令和の日本の歴史を支える上で圧倒的に重大な意味を持っていたことを明確に、直接に意味しています。

 

それにも関わらず、その<真実>に思いが至る日本人が、圧倒的に少ない現下の日本の実情は大変に遺憾に感じざるを得ぬものです。

 

なぜそれが遺憾なのかと言えばもちろん、人々の記憶から安倍晋三という存在や思いが忘却されていくことそれ自身が、安倍晋三を深く知る一人の人間として哀しいものであるという当方の私的理由があることは事実ですが、それと同時に、あるいはそれにもまして、今の日本人が安倍晋三の思いや志を忘れ、現下の政治を当たり前のものだと受け止めれば受け止めるほどに日本の劣化がより加速度的に進展してしまうことそれ自身を、大変に哀しく感じているのです。

 

そして、そうした日本の劣化が安倍晋三の死によって加速してしまったとするのなら、その状況を最も哀しく感ずるのは、当の安倍晋三ご本人であろうと思えば、さらにさらに遺憾に感じざるを得ません。

 

ついては当方はこの機会に改めて、安倍晋三さんが撃たれたあの交差点に赴き、安倍さんが撃たれてしまったことの我々日本国民にとっての「意味」を、それによって如何に日本の政治が激しく劣化するに至ったのかに思いを馳せる事を通して改めて問い直す追号動画を配信いたすことといたしました。

https://youtu.be/19Uqw2IZ7KA

 

この追悼動画の中でも申し上げていますが、かの交差点には「安倍晋三が撃たれた」という記憶のための「印し」が一切存在していません。

 

この状況は当方にとっては今を生きる日本人が、安倍晋三氏の存在や思いを日々忘却し続けている、ということを象徴しているように思えてなりません。

 

例えば、アメリカのケネディ大統領が安倍さんと同じく凶弾に倒れたダラスには、そのまさに撃たれたその道路上の地点には大きな「×」の印しが書かれています。そして、その現場の近くに、ケネディ大統領を追悼するための「ジョン F. ケネディ記念プラザ」が作られています。

https://4travel.jp/os_shisetsu/10311543

 

これはつまり「ケネディが暗殺された」という「哀しい事実」をアメリカとして忘れることなくしっかり記憶しなければならない、というアメリカ国民の意志の表れであると言えるでしょう。

 

そしてその哀しい暗殺という事実を記憶することを通して逆説的に、ケネディという存在や思い、志を改めてその時々のアメリカ国民がアメリカ国民として思い起こし続けようとしているということなのだと思います。

 

そしてそれはもちろん、そうすることがその時々のアメリカ国民が「明るい未来」を作り続けるにおいて大きな貢献を果たすという確信がアメリカ国民の内にあるからなのだろうと思います。

 

すなわち、そのケネディ記念プラザは、私人としてのケネディ個人の「墓標」とは異なる、「アメリカ国家の偉人・公人としてのケネディ大統領」のアメリカ国民に対する「墓標」となっているのです。

 

当方は、このアメリカのケネディ大統領に対するアメリカ国民の追悼する「姿勢」と同様の「姿勢」を、日本国民として安倍晋三元総理大臣に対しても取ることができないかと、感じています。

 

もちろん、アメリカを真似る必要など何もありません。しかし、安倍晋三の暗殺という哀しい事件を記憶に止める事を通して、安倍晋三という存在、思い、志を日本国民として思い起こし、それを明るい日本を作る未来をつくる努力の一つの多いな糧にしていく――そういう当たり前の取り組みを日本国民として継続するにあたって、あの暗殺現場に何の「印し」も内のは、余りにも哀しい状況であると感じています。

 

この動画では、この問題についても取り上げ、現地の状況などをよく知る地元の市議会の方のお話しを伺っております。

 

この安倍さんの命日に…一人でも多くの国民の皆様に、安倍晋三という政治家が存在していたこと、そして彼がやろうとしていたことが一体何なのかをしっかりと思い起こして頂きたいと思います。

 

そしてそれを、安倍さんが志していた「明るい日本をつくる」ための努力の一つの糧にしていただけると、大変有り難いものと思っています。

 

どうぞ、よろしくお願い致します。

 

追伸:是非、下記追悼動画、ご覧ください。

『安倍晋三元総理の死から3年...今だから伝えたいことがあります。(奈良県大和西大寺より)』

https://youtu.be/19Uqw2IZ7KA

 


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