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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

人間の行為の中で最も大切な行為は「弔い」である.そして,その弔う気持ちは,人間に対する嘘偽りのない「忠」の精神から自ずと生まれ出でるものである.

本日,「葉隠」について,ある書籍の企画で改めて文章をかいておりました.

その中で,「忠」について欠いている中で,なかなか面白い論点かもと思い,改めてつらつらと欠いていたのが,「忠心」と「弔意」との関係です.

 

そもそも,人間のあらゆる行為の中でも最も大切なものは,「弔う」という行為だと感じています.

 

例えば,この週末に見た映画「トロイ」でも,「弔い」というものの崇高さを現すシーンが出て参りました.

 

トロイの王の息子・王子が,敵対するギリシア人のアキレスに戦で殺されてしまいます.そしてアキレスは,その王子の亡骸を戦場から自分の陣地に連れ去ってしまいます.

 

息子を失い,失意の内にあるトロイの王は,せめて息子をしっかりと弔ってやりたいと考え,殺される覚悟を決めた上で夜中に敵陣であるギリシアのアキレスの家にまで単身赴き,息子の亡骸を返してくれと懇願します.

 

そして,その命を投げ出す覚悟に心をうたれたアキレスは,その王子の亡骸を返すと同時に,「王子の弔いが完全に終わるまで,停戦しよう」と約束します.

 

つまり,トロイの王もアキレスも,その王子の「弔う」という行為に,戦の勝敗のみならず,自分自身の命以上の価値を見いだしているのです.

 

ギリシアの戯曲には,アンティゴネ-を代表として繰り返しこの「弔う」ということの重大な意義を示すシーンが登場します.

 

当方は,この「弔う」という心の動きは,実は人間というある種崇高な存在に対する「忠心」から来るのではないかと…今日改めて感じましたので,以下の様な文章を纏めた次第です.

 

是非,ご一読下さい.

 

……

 

… … …(記事全文2,514文字)
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