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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

永田町を駆け巡る『岸田文雄氏は石破に乗る』という怪情報:もし真実なら岸田氏は日本国民を舐めているということになり,キングメーカーになり損ねることとなる.

総裁選は明日投開票.史上最大の混戦ということで,一体何がどうなるか全く予断を許さない状況となっています.

 

これまで当方は,小泉進次郎論として,「政治家以前に普通の質疑応答も出来ない低レベルの人物である」ということ,石破茂論として,「中身がない単なるはりぼてで,何も政治決断せず,単に中国や財務省の言いなりになる他ない単なる“ニセモノ”の政治家である」ということ,そしてこの2人の裏側には,キングメーカーである菅義偉氏がいることを指摘してきました.

 

一方で,高市早苗さんは政策論の視点から言えば,大学の採点基準でいって十分に「優」評価が十分出来ることを指摘すると同時に,菅氏と並ぶもう一人のキングメーカー・麻生太郎氏が「高市推し」を水面下で進めているとの報道を紹介いたして参りました.

 

ただし,これまで当方が公表してきた総裁選の主要関係者の中で,1人だけ,殆ど触れてこなかったものの人物がいます.

 

かの岸田文雄氏です.

 

巷では,岸田氏は菅,麻生に継ぐ「第三のキングメーカーを目指している」と言われます.そして,菅・麻生は高齢や体調の問題故に,今回の総裁選を通して第三のキングメーカーになれれば,早晩,党内唯一のキングメーカーに成り上がることができるのではないか,ともささやかれています.

 

一方で,岸田氏が総理の座を追い出される事になったのは,菅氏が岸田批判を徹底したからですが,その菅氏は今,小泉・石破の両名を推しています.したがって,岸田氏は総裁選3強の中では,最終的には(自らを追い落とした菅氏が推していない)高市氏を推す他に選択肢はなくなるのではないか,とも指摘されてきました.

 

ところが本日,様々なジャーナリスト,政治記者達から,不思議な情報を耳にしました.

 

岸田氏が「高市に乗るな.石破を推せ」と周辺の議員達に指示を出しているという情報です.

 

その情報がどこまで本当なのか当方には分かりかねますが複数のルートから耳にしましたので全くのデマではないのだろうと…思います.

 

もしもこの情報が真実だとすると,岸田氏は「僕もキングメーカーになりたい!」という自らのささやかな願いを,自らの手で叩き潰してしまう事になるのではないかと…考えられます.以下,その理由を解説いたしたいと思います.

 

まず第一に,岸田氏が石破氏を推すとなれば,それは結局「自らを叩き落とした菅氏の軍門に降る」ということになります.そんな姿を周りに見せてしまえば,キングメーカーとしてのパワー(威光)がそれだけで削がれてしまうことになります.

 

第二に,そのリスクを冒してまで石破氏を推したにも関わらず,その石破氏が結局総裁になれなければ,(岸田さんについていった議員各位から)「岸田さん,やってんですか…」と白い目で見られる事になり,岸田さんのキングメーカーになる夢はその時点で水泡に帰す事になります.

 

第三に,仮に石破氏が総裁になったとしても,昨日の動画で解説したように,「石破内閣」は党内の保守層に強く反発され,不安定化し,石破内閣は長期的に続かないリスクが濃密にあるわけで,石破内閣は早晩不人気のまま潰れてしまう事になります.そうなればやはり結局,岸田さんのキングメーカーになる夢はその時点で潰れてしまう事になります.

https://www.youtube.com/live/idkPRryKUvA

 

第四に,キングメーカーになるためには,自らの指令で動く議員達の数が一定数以上あることが必要ですが,今回の「ごり押し」の様な石破推しに反発し従わない議員もでてくることになります.さらには,一定程度岸田さんの意向に従うものの,結局冷や飯を食らわされる様になる議員も出てくる事になります.

そうなれば,キングメーカーとして重要な「影響を与えられる議員」の数が,今回のごり押しの石破推しによって激減してしまうことが危惧されます(何と言っても派閥は解消しているのです.そしてもちろん,その危惧は石破氏が敗れた場合には極めて現実的なものになります).

 

この様に考えると,岸田さんの「石破推し」という判断は,「自民党のキングメーカーになれる程の知力,胆力,分析力,そして何より“凄味”有る政治家」の判断とは,到底思えないような判断に過ぎない,ということが見えてきます.

 

つまり,(まだその情報が本当かどうかは分かりかねますが)もしも岸田氏が石破推しをしているのが事実であるとすれば,もはやそれだけで,岸田氏はキングメーカーとしての素養の無い,菅氏や麻生氏からは大きく格落ちする低レベルの政治家に過ぎなかったのだ,と周囲から見なされる事になると考えられるのです.

 

 

いずれにしても…当方はもちろん,岸田氏がキングメーカーになってもならなくても,日本のための政治に真摯に取り組んで頂ける限りにおいてどちらでも構わないと思っています.ですがもしも岸田氏がキングメーカーになりたいというのなら「石破推し」は辞められた方がいいのではないかと…僭越ながら感じているという次第です.

 

それにも関わらず,岸田氏がホントに石破推しをしているとするのなら,それは要するに,自民党の中にある「保守層」の気持ちを,大いに見くびっているからなのだと言うことができるでしょう.

 

つまり,岸田氏が思うほど,国民も,とりわけ自民党の党員達も,米国や中国や財務省のいいなりで,目先のニンジンだけでしか動かない無知蒙昧で馬鹿な大衆なんかではなく,それなりに日本の事を考え,日本を大切に思い,明るい日本の未来のために考える日本国民なのです.

 

岸田氏がもしも,キングメーカーになりたいと真に願うのなら,是非,日本人の事を見くびるのではなく,多くの日本人がそうしているように,真摯に日本のことを考え,日本を大切に思い,明るい日本の未来のために考える,そんな政治を志して頂きたいと,僭越ながら考えます.

 

岸田氏,そして,岸田氏の周辺の議員の皆様が(そしてもちろん彼らを含めた自民党の議員の皆様全員が),そうした真摯な政治をされる方々であることを,心から祈念いたしたいと思います.

… … …(記事全文3,046文字)
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