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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

「説明責任を果たすために総裁として政倫審出席を自ら決めた」という岸田氏の行為は、国会・政倫審を愚弄する、極めて悪質な不道徳行為である。

自民党の派閥の政治資金事件をめぐる衆院政治倫理審査会(政倫審)の開催に関して、岸田首相は、審査会に「自民党総裁」として、「公開」の形で出席しすると表明しました。

 

出席する理由として岸田氏は、

「私自身、自民党総裁として政倫審に出席し、マスコミオープンの場で説明責任を果たしたい」

と述べ、その上で、

「政治の信頼回復に向けて、志ある議員に政倫審はじめあらゆる場において説明責任を果たしてもらうことを期待したい」

と発言しています。

 

この振る舞いは一般に、『「来年度予算の年度内成立」のカギとなる衆院政倫審開催をめぐり、自民党内の混乱が野党の攻勢を招くという悪循環を断つため、総裁として「率先垂範で全面公開での政倫審出席を宣言する」という“奇手”で、事態打開を狙ったものだ。』と解説されています。

https://toyokeizai.net/articles/-/737651

 

つまり、岸田氏は、

第1に、裏金問題についての説明責任を果たし、国民にアピールし、政治不信を払拭する(つまり、支持率を回復させる)ため、

第2に、安倍派五人衆や二階氏、森氏を、政倫審に引っ張り出すため(そしてそれを通して党内の対立勢力を弱体化するため)、

第3に、それを通して国会を円滑に進めるため、

という3つの目的で、政倫審に「総裁」として出席することを決定したわけです。

 

しかし、この岸田氏の振るまいは誠にもって、国会軽視も甚だしい、倫理的視点からいって誠に持って許し難き不道徳な言語道断の振る舞いに他なりません。筆者は、この岸田の振るまいに激しい義憤を感じます。むしろ、この振る舞いの不埒さが理解できず、何ら怒りを示さない国民に対して激しい嫌悪感を抱いてしまうほどに、この岸田の不道徳性は深刻なものであると認識しています。

 

そもそも政倫審とは、

『政治倫理の確立のため、議員が「行為規範」その他の法令の規定に著しく違反し、政治的道義的に責任があると認めるかどうかについて審査し、適当な勧告を行う機関』

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_iinkai.nsf/html/iinkai/rinri.htm

です。

 

つまりそれは、国会内に設置された、国会議員の「非倫理的行為」を対象としたいわゆる「裁判」を行う機関であって、決して、「国民にアピールする場」ではないのです…

… … …(記事全文3,170文字)
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