… … …(記事全文3,640文字)最近、MMT(現代貨幣理論)っていうと、さながら「反社会勢力」のような扱いを受ける空気が、メチャクチャ拡大しています。
細かい事はさておきますが、某政党においても、かつてはそうでもなかったのに、かつ、MMTをそれなりに理解している人達でも、
「MMTって行っちゃうと、見んな離れて行っちゃって、政治力がかえって減退しちゃうから、MMTって言わないようにしてるんですよ。だから、藤井さんって、MMTって言ってるっでしょ?だから、藤井さんは、呼べないんですよ。ホントは来てほしいって思ってるんですけどね」
なんて平気で言う様になってきました。
さらにびっくりしたのが、某大学の某人事で、某人材の人事審査をしているときに、その某人物が以前MMTについて少しだけ肯定的に語ってた、っていうのが某人事会議で問題になって、それが原因で、某人事が(普通なら絶対否決されるようなことの無い段階で)否決されてしまう、っていうことすらありました。
要するに、MMTっていうと、「過激派」のような扱いを受け、政府関係者が内容はさておき、そんなものに関わった途端に全部アウト!となるような超絶なタブーになってるようです。
ホント、人間って卑しい奴らだなぁとしか思えませんが、どうやら今は、そういう状況になってるようですね。
が、かつては「ジャニー喜多川の幼児虐待」が、TVメディアでは絶対タブーになってるのに、今やもう、ジャニー喜多川を否定しなきゃヤバい、っていうような状況になったりすることもありますから、MMTについてもこれからどうなるか分かりません。
なので、当方はMMTについては、MMTという言葉を使うかどうかは別として、
(1)貨幣の発行者は政府であり、政府は自国通貨建ての借金で破綻することはない。
(2)だから、PB規律だとか何だとかは全く意味がなくて、いろんな経済状況が不適切な状況になるかどうかを(例えばインフレ率や実質賃金の上昇率、為替、金利等を見ながら)、適切な国債発行額を調整していくことが必要だ。
という主張は延々と続けていこうと思っています。
…が、今日はそんなMMTについて、「単純なMMT信者が陥っている誤り」、について一つ指摘しておきたいと思います。
それは、「MMTがあるからコロナ自粛はどんだけやっていい!」という、コロナが流行ってた頃に言われてた言説の「根本的誤り」についてです。
MMTの言説でしばしば言われるのは、次のような話しです。
1)デフレならインフレになるまで財政拡張は必要。
2)インフレが過剰になったら、緊縮的な財政を行うべき。
3)だから、今はデフレなんだから、今は、医療費拡充も全然OK.
4)だから、コロナに対しても、(過剰インフレになるまでは)徹底的に国債発行してもいい。
この論調、コロナ流行期にメチャクチャいわれてて、当方が過剰自粛はダメだと主張してたときに、
「あいつはMMTを捨てたクズだ!」
なんて論調で超絶に批判されてたのです。
…が、上記の1)~4)は間違い、です。
なぜそういえるのか…それについて、今日とあるところで文章を書いたので、それについて、下記に紹介したいと思います……
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)