ここ2、3日、テレビや雑誌、新聞各社から、「防衛増税」について実に多くの問い合わせを受けるようになりました。やはり、抜本的な「増税」については、尋常ならざる程に国民的な関心が高いようです。そんな中で、表題にある「なぜ財務省は憑りつかれたように増税したいのでしょうか?そして、なぜ政府は財務省の顔色を必要以上に伺ってしまうのでしょうか?」というご質問を含めて、様々なご質問をうけましたので、それについての当方の回答を下記にご紹介さしあげます。是非、ご一読ください。 ◆2022年に入ってから物価上昇が叫ばれ、1年近くが経過しましたが、物価上昇が収まりそうですか?むしろ1年前よりも状況は悪化しているのでしょうか?◆ 物価上昇は、当面収まりません。ウクライナ戦争は暫く続き、世界的な資源・食料不足が継続するからで、また、物価高の主要因である円安も、当面続くと考えられるからです(なぜなら、岸田内閣が緊縮である以上、日本のデフレ基調は絶対におわらず、したがって、日銀が金利を上げることができず、そうなると、日米金利格差が継続しますから、円安が本格的に終わることはありません)。 こうした状況を勘案すると、1年前よりも状況は悪化していることは間違いありません。 ◆2022年の間に政府が実施した物価上昇対策、生活支援策など、どのようなものがありましたか?また、それらの対策はどのような効果をもたらせましたか?◆ ガソリン事業者に対する補助金や、小麦価格据え置きのための財政支出の拡大、電気料金高騰対策の政府支出等が行われました。それによって、家計支出は約5万円軽減する、と言われています。しかし、それらの支援金額総量は極めて限定的で、その5万円の軽減策では「焼け石に水」の状態です。 事実、政府の補正予算決定後も物価は上がり続けています。例えば、電気料金は、政府対策があるにモカ変わらず、地域によっては約5割上昇しています。政府の対策が焼け石に水であることの証左といえます。… … …(記事全文3,611文字)
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)