Foomii(フーミー)

世に倦む日日

田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)

田中宏和

ミリー発言の意味と背景 - 戦争方針をめぐるCIAと米軍の亀裂と対立

■11月15日にポーランドの村にミサイルが着弾して死者2名を出した事件について、田中宇などは、ロシアとNATOとの第三次世界大戦を呼び込むための謀略(未遂)だったのではないかという仮説を示している。私もその可能性を疑う一人であり、本当に迎撃に失敗して偶然に着弾したのか怪しく感じている。迎撃に失敗したのではなく、そのようにカムフラージュして、どさくさ紛れに、意図的にポーランド領に着弾させたのではないか。その疑念を拭えない。そう推理を立てた場合の犯人はCIAとゼレンスキーで、その根拠は、AP通信が15日に発したこの事件の第一報である。そこにはソースとして「米情報機関の高官の情報として」と記述がある。 ゼレンスキーが強気を崩さず、最後まで「ロシア犯人説」で引っ張り続けた理由は、おそらく、そこにCIAのエンドースがあったからで、さらに言えば、もともとCIAと一緒に仕組んだ謀略だったからではないか。そう事件像を組み立てると、ゼレンスキーが強情を貫き通す意味がよく理解できる。CIAという全能の相棒がいるのだから、大船に乗った気分で平気なのだ。これまで、何があっても、自分の主張が正義として西側にオーソライズされ、国連でも真実として確定され、ロシアの反論はすべてウソでデマだと否定され排斥されてきたから、ゼレンスキーはそのプロトコル環境に馴れきってしまっている。バイデンが何を言おうが、CIAこそが地上の神なのだからゼレンスキーは絶対の自信があるのだ。 ■高橋杉雄は、普通は防空ミサイルは迎撃に失敗したら自爆する仕組みになっているが、当該弾は作動が不全だったのだろうと解説し、言外に、旧ソ連製だから粗悪品だったのだというニュアンスを込め、今後も同じ事故が起き得ると言った。小谷哲男は、ロシアのミサイルがベラルーシ上空の戦闘機から発射されたと言い、南の地上からの迎撃に角度の余裕がなく、迎撃に失敗して左方向(西方向・ポーランド領)に逸れたと説明した。どれも尤もらしい弁解と言説だが、迎撃する側のウクライナ軍は、すべての状況と位置関係を押さえた上で迎撃弾を発射している。ロシア軍がミサイルを発射するポイントは、偵察監視しているNATOからリアルタイムに正確な位置情報が送られている。 ウクライナ側の迎撃ミサイルが、迎撃に失敗して偶然にポーランド領に着弾したという説明は、軍事技術的に腑に落ちない。そこまでポンコツ品なら、これまでもっとウクライナ領内で被害が出ているだろう。この事件の真相解明で重視すべきは、やはり、第一報を「米情報機関の高官」すなわちCIAの幹部がAP通信を通じて発したという事実であり、そして、その情報をただちに国防総省が「確認できない」「調査中」だとしてロイター等に発表させた経緯である。そこから透けて見える事件の暗闇の構図は、CIAがゼレンスキーと組んで仕掛けた謀略を、米軍(国防総省)が即座に察知して未然に阻止したというものだ。米軍(国防総省)は着弾したミサイルの軌道を正確に把握していた。
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