… … …(記事全文6,637文字)「サルコペニア」とは筋肉量と筋力が低下し、日常的な動作に支障が出る状態を指す。最悪の場合、寝たきり状態に陥ることも。「マンジャロ」による健康被害を軽くみてはならない。サルコペニアを引き起こすこともある
◆〔特別情報1〕
先月は、高齢者へのマンジャロ投与による健康被害について、2回にわたって取り上げた。実はもう少し補足しておきたいことがあった。
マンジャロの高齢者に向けた投与について、内科総合クリニック人形町が公式サイトで取り上げている。医師としての注意喚起が記されているので紹介しておきたい。「70歳以上のマンジャロ使用例|高齢者の用量設定と副作用モニタリング」という見出しのコラムのなか、次のように解説している。
《マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は、GIPとGLP-1の2つの受容体に同時に働く週1回の注射薬です。70歳以上の方が使用する場合、用量の調整や副作用への備えが若い世代とは異なります。とくに高齢者では、消化器症状による脱水や筋肉量の低下に細心の注意を払う必要があるでしょう。》
ということで、70歳以上の高齢者でも安全にマンジャロが投与できための指針として注意点が解説されている。
《「75歳以上」のデータはまだ少ない―だからこそ慎重な管理が求められる
臨床試験において75歳以上の参加者は全体の約0.5%にとどまり、データ数は十分とはいえません。そのため、75歳以上の方にマンジャロを使う場合は、より慎重な経過観察と個別の判断が大切になります。
欧州医薬品庁(EMA)は、チルゼパチドについて年齢のみによる用量調整は不要としていますが、臨床試験の除外基準には心血管疾患や腎疾患などが含まれていました。実際の高齢者は複数の持病を抱えていることが多いため、試験結果をそのまま当てはめるのは難しい場面もあります。》
ここでいう臨床試験が、日本での臨床試験を指しているのかどうかは定かではない。もともとマンジャロは米国で開発された薬であり、基本的な臨床データは、米国で行われたデータがベースということになるだろう。その米国では、Ⅱ型糖尿病の治療薬とともに、肥満症の治療薬として承認されている。一方、日本ではⅡ型糖尿病の治療薬としては承認されているが、肥満症の治療薬としては承認されていない。しかし、保険適用外ながら実際には医師の処方のもと肥満症治療薬の「やせ薬」として使用されており、こちらのほうが先に認知されてしまったことになる。
しかし、そもそも米国人の治療を必要とする肥満症と、日本人の肥満とでは、肥満度の桁が違っているだろう。かつて、認知症薬として最初に承認されたと記憶する「アリセプト」のときもそうであったが、体格が桁違いに大きい米国人の適用量や増量プログラムを、そのまま小柄な日本人に当てはめると、副作用の弊害が起きやすい。実際に副作用が起きて、患者やその家族の日常生活に大きな支障が生じていても、厚生省が定めたガイドラインを理由に、投薬をなかなか止めようとはしないケースが多かった。また、素人である患者や家族の判断で薬を中止しないよう注意も促されている。
米国で開発されたマンジャロも同様で通常、週1回2.5mgから開始し、4週間ごとに段階的に用量を引き上げていくらしい。しかし、前回までの記事で紹介した患者は、2.5mgで弊害が起きた。しかし、それは慣らし期間であり、通常はその先、5mg、10mg、15mgと3段階で増やしていくということなので、2回にわたって紹介した患者も、5回目の投与を中止しなかったならば、5mgに引き上げられていた可能性すらあったということだ。

購読するとすべてのコメントが読み放題!
購読申込はこちら
購読中の方は、こちらからログイン