□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2018月4月25日306号 ■ ============================================================= おわびする事こそ正しい歴史認識の基本である ============================================================= これも日本外交が直面する大問題に関する過去のエピソードだ。 今度は朝日の特集記事が教えてくれた。 きのう4月24日の朝日新聞の特集記事(平成とは)は、正しい歴史認識はおわび(謝罪)から始まると、次のようなエピソードで教えている。 日本と東アジア(韓国・中国)との歴史問題の分水嶺は日韓・日中の首脳が立て続けに会談した1998年(平成10年)だったと。 つまり、その年の10月に金大中韓国大統領が来日し、小渕首相と会談した。 その時小渕首相は村山談話に沿って、日本の植民地支配について、「痛切な反省と心からのおわび」を共同宣言案で表明した。 これを受け、金大中大統領は、帰国直後の国会演説で、「この宣言が歴史問題を一段落させ、平和と繁栄を目指す共同の未来を開拓する礎になる」と見事に応じたのだ。 ところがである。 この宣言が翌11月に来日する中国の江沢民主席を刺激し、中国との共同宣言にも「反省」だけでなく「おわび」も示すように求めて来たのだ。 ところが、日本側には1992年の天皇訪中で中国に対する歴史問題の対応は「総仕上げ」をしたという思いがあった。 江沢民主席は首脳会談で不満を隠さず、冒頭から延々と歴史問題を語り、小渕首相は硬い表情で「反省とおわび」を述べざるを得なかったが、共同宣言の中には「深い反省」のみが記載され両首脳の署名がない異例の宣言という滅末で終わったというのだ。 この朝日の記事は、なぜそこまで日本が中国にたいして「おわび」を拒否したのか。 その理由については一切触れていない。 私も当時の事について確たる記憶はない。 しかし、はっきりしている事は、小渕首相が急逝した後を受けて2000年4月に成立した森政権が短命で終わり、その後2001年4月に小泉政権が出来て靖国神社参拝を始めた時から、日中関係は決定的に悪くなったことだ。 その時から、小泉首相に忖度する外務官僚は、それまでの東アジアとの和解を進めようとしてきた外務省から決別し、「和解の実現にはこちら側の反省と誠意だけでは不十分だ。相手の寛容さと、対日関係の前向きな未来像が必要だ」(竹内行夫元次官)などと、平気で言うようになったのだ。 そう朝日の記事は教えてくれている。 まさしく、韓国、中国の首脳が来日した1998年は歴史認識問題の分水嶺であり、日本の政治史で言えば、田中派の小渕首相から、岸・福田派の森首相に代わり、それを固定化させた小泉首相が、いまの安倍政権を作ったのである。 対米従属と、おわびを拒否する歴史認識は、同じコインの裏表だ。 そして、いまでは強固にこの国の内政・外交を規定している。 これを元に戻す政治的力はいまの日本にはない。 それどころか、このまま行けばますます固定化されて行く。 それを元に戻す政治力こそ新党憲法9条なのである。 小泉首相が、その息子を首相にするため政局に再登場して来る今こそ、新党憲法9条が輝く時である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)