□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2018月4月22日297号 ■ ============================================================= 「シリア情勢の裏の裏」を解説してみせた木村太郎の国際通信 ============================================================= シリアで化学兵器を使ったのはアサドか反体制派か。 それぞれを支援している米国かロシアか。 私はレバノンに有している情報源を信じているから、100%アサドの仕業だと思っているが、もちろん米国のやらせだという主張するアサド・ロシア側の言う事を信じる者がいる事も知っている。 「戦争でまっさきに犠牲になるのは真実である」という至言を引用するまでもなく、お互いが真実を主張し続けるから、これ以上私はここで持論を語ることはしない。 しかし、4月19日の東京新聞「太郎の国際通信」に書かれていた「シリア情勢の裏の裏」は傾聴に値する見方であるので紹介したい。 ドゥ―マでは既に反体制派は降伏・撤退していた。 それなのになぜアサドは国際社会から糾弾され、米国から報復されるリスクをおかしてまで化学兵器を使ったのか。 それは、シリアは米国の報復を歓迎したからだ。 その証拠に、シリアは攻撃されそうな軍事施設から関係者や施設・資料などを撤収していた。 つまりシリアは報復覚悟で化学兵器を使ったのだ。 ではその狙いは何か。 それはアサドは欧米とロシア、イランとの緊張関係を高める必要があったからだ。 アサドは延命の為にロシアとイランの支援が必要だ。 ところがロシアはISの掃討が一段落したので、ロシア軍をシリアから引き揚げようとしていた。 しかし、ロシアが引き揚げるとシリアに対するイランの影響力が強まり、シリアは事実上のイランの支配下に置かれる事になる。 アサドはその事態を避けるために化学兵器を使って米国の介入を招き、ロシアのシリアからの撤退を阻止しようとしたのだというのだ。 一方のトランプの米国もまた、ISと戦って来たクルド人武装集団への支援の必要性がなくなりつつあった。 しかし、ロシアのシリアへの介入がある限りシリアから米兵を引き揚げるわけにはいかない。 これを要するにアサドはみずからの延命の為に、シリアの泥沼から足を抜きたかった米国とロシアをともにつなぎとめようとしたというのだ。 アサドは欧米の攻撃を受けた翌日にロシアの議員団と会談した時、上機嫌だったとロシアの通信社は伝えていたという。 果たしてこの木村太郎の見方は正しいのだろうか。 それはわからない。 しかし、自らの延命のためなら自国民の犠牲もいとわないアサドをレバノンで嫌と言うほど見せつけられてきた私には、いかにもアサドのやりそうなことであると思ってこの記事を読んだ(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)