□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年8月25日第653号 ■ ============================================================ 日中韓の外交力をどう評価すればいいか ============================================================ きのう行われた日中韓外相会議のニュースで、きょうの各紙は埋め尽くされている。 しかし、それを読んでも、一般国民にとっては、日中韓三カ国の関係が改善したのかどうか、さっぱりわからないに違いない。 それはそうだ。 これは実態とは無関係の、外交的駆け引きであるからだ。 おりから北朝鮮が潜水艦ミサイルを発射し、日韓の間では慰安婦拠出金の使途が決まった。 これらはすべて関連している。 それでは、これらの動きの裏で繰り広げられた日中韓の外交力をどう評価すればいいか。 真っ先に考えるべきは、なぜこのタイミングで日中韓外相会談が開かれたか、だ。 それは、中国で開かれるG20首脳会談が目前に迫っている(9月中旬)からである。 その前に関係改善の形を整える必要が三カ国にはあった。 ホスト国である中国は、G20を成功させるために日本や韓国との関係改善を図る努力を示す必要がある。 しかし、中国の日本や韓国に対する要求、すなわち領海問題や迎撃ミサイルシステムの韓国内配備については、一歩も譲らない。 そして、北朝鮮のミサイル発射を容認し、北朝鮮の暴走を止めるのは中国しかない、という中国の存在感を見事に示した。 これはまさしく狡猾な外交だ。 ひるがえって日本はどうか。 安倍首相はG20でどうしても習近平主席との首脳会談を行いたい。 たとえ中身がなくても会談する必要がある。 国際会議で顔を合わせるのに首脳会談が出来ないとなると、その関係は最悪である事を内外にさらけだすからだ。 それだけは避けたい。 そのために中国の領海侵犯に対する抗議を封印し、対話加速を強調する。 韓国との慰安婦問題についてはベタ降りだ。 あれほど反対していた日本の拠出金の元慰安婦生存者に対する支払いも、結局そのほとんどが一人につき1000万円の支払いに使われる事となった。 慰安婦像の撤去は不透明なままだ。 このようなベタ降りも、中国との対抗上、日韓関係の進展がどうしても必要だからだ。 これを要するに、日本外交は中身のない事が分かっている日中首脳会談実現のために、ベタ降りしたということだ。 無益な日中首脳会談の為に実利を尾失う。 失敗外交の典型である。 最後に韓国だ。 韓国外交にとっての最重要課題は北朝鮮との関係改善であるのに、韓国領土内に米軍の迎撃ミサイルシステムを設置し、北朝鮮はもとより中国を激怒させ、朝鮮半島の統一を目指すべき相手に、もうすぐ崩壊する国だと、これ以上ない挑発する。 朴槿恵大統領の外交は、外交以前である。 採点不能である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)