□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年8月22日第646号 ■ ============================================================ 新党憲法9条構想の実現に向けて活動を再開する(7) ============================================================ バイデン発言によってはからずも日本国憲法の押しつけ論がメディアをにぎわすことになったが、その数日前に、偶然にも私は幣原喜重郎について朝日新聞の記者から電話をもらった。 憲法9条の原案をマッカーサーに伝えたと言われている幣原喜重郎の事を外交官の後輩である天木さんはどう思うか、というのだ。 私の幣原喜重郎に関する知識は、「おめでた過ぎる」といわれるほどの理想的主義的外交ぐらいであり、憲法9条の起草をめぐってマッカーサーに影響を与えたという説も知っていたが、占領下にあっては米国の意向に反する憲法などあり得ず、従って憲法9条は、まったくの押し付けでも、幣原の主張が通ったというものでもなく、米国と日本の当時の為政者の合作であると考える程度のものだった。 しかし、ちょうどいい機会だ、この際、この朝日の記者に幣原喜重郎の事を詳しく教えてもらおうと思って私はその朝日の記者のインタビューに応じたのは、私の記録を辿れば8月12日の事だった。 その時、朝日の記者から渡されたのが「戦争への終止符」(法律文化社)という、今年5月末に発行されたばかりの一冊の本だった。 その中の第1章で幣原喜重郎の事が取り上げられていた。 ちなみにこの本は、幣原喜重郎の事を検証した「押し付け憲法論からの自由」という第一章のほかにも、沖縄問題や東京裁判、カミカゼ特攻隊、さらには安倍首相の改憲解釈と70年談話にまで及ぶ、日本の戦後史の主要テーマについて、その真実と、その真実を隠す情報操作について、外国の学者・研究者が考察した数章から成り立っている本で、3000円と言う高い値段がついているが、その値段に見合う秀逸な研究本である。 その幣原喜重郎の考察を読んで私は思った。 まさしく幣原喜重郎は、憲法9条を日本の国是として世界に掲げるべきだと言う考えを、あの戦禍から学んで自分のものとし、それを唱え、そしてマッカーサーに伝えていた。 しかし、幣原は、それを、側近に語り、あるいは後日回顧したことはあっても、決して憲法起草時に、それを公言し、本気で実現しようとしたわけではなかった。 当時の状況がそれを許さず、彼もまたそれを本気で唱えればまともに相手にされないという思いを持っていたのだ。 新党憲法9条は、大先輩の果たせなかった夢を、70年余の時を経て、後輩が実現しようとしているという事ではないですか。 その朝日の記者から、私はそう言われているような気がしてインタビューを終えた。 すべてが新党憲法9条構想に実現に向けて動き始めたと私は思い込むようにしている。 新党憲法9条は、まさしく幣原喜重郎が果たせなかった夢を実現する政党に違いない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)