□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年6月30日第510号 ■ ============================================================= バイデン発言に日本政府は公式に抗議すべきである ============================================================= バイデン米副大統領が習近平主席との会談中で、「彼ら(日本)は一夜で核兵器を開発する能力がある」と話した事が明らかになった。 「米国と日本は価値観をもっともよく共有している」事を繰り返し強調し、日米同盟を最優先する日本にとって、これほど侮辱的な事はない。 なにしろ、その発言がオバマ大統領の腹心であるバイデン副大統領の口から出たからだ。 しかもその相手は安倍首相がもっとも敵対する中国の習近平主席であったからだ。 そして、その発言をした時に、バイデン副大統領が言及したのが北朝鮮だったからだ。 すなわち、北朝鮮に核放棄をさせなければ日本も核を持つ、そう言ったのだ。 米国の日本に対する不信は北朝鮮並みであることを図らずも白状したようなものだ。 しかもそれをバイデン副大統領は米メディアとのインタビューで公言したのだ。 これほど非礼で無神経な発言はない。 なぜ日本政府はすかさず的確に抗議しなかったのか。 日米同盟の信頼関係を崩しかねないような暴言である。バイデン副大統領の釈明を求めたいと。 そう思っていたら、きょう6月30日の毎日新聞「木語」の中で、坂東賢治専門編集委員が書いていた。 このような米国要人の発言は今度が初めてではないと。 すなわち、あのブッシュ大統領も語っていたと。 2003年1月に当時の江沢民国家主席との電話協議で、「北朝鮮に核開発を続けさせれば、日本の核開発を止められなくなる」と説いたと、ブッシュ氏は回顧録で明らかにしていたという。 さらにさかのぼれば、ニクソン大統領の訪中(1972年)を前にして、周恩来首相と秘密交渉を重ねたキッシンジャー氏は、日米安保条約の解消を求める周恩来首相に対し、「我々が撤退すれば、代りに日本の核計画が浮上する」と、語っていたと。 ここまで米国の日本に対する核不信は根強いということだ。 そうであるならばなおさらだ。 坂東専門編集委員は書いている。 日本人としては心地のよい言葉ではない。オバマ大統領の広島訪問直後である。米中両大国が、頭越しで日本の核開発について議論するような時代は終わらせたいと。 その通りだ。 しかし、坂東氏はその「木語」の中で、6月24日に行われた記者会見で世耕弘成官房副長官が語った「我が国が核兵器を保有する事はあり得ない」という言葉を引用して、「バイデン氏に反論したのは良かった」と書いている。 画龍点睛を欠くとはこのことだ。 世耕官房副長官の言葉は、私に言わせれば反論ではなく、弁解だ。 米国をあてに語ったと言うのではなく、日本国民に向けたひとりごとだ。 唯一の被爆国である日本こそ、米中両大国が核開発の権利を独占する事は許されないと、すかさず米国に、そして世界に反論すべきだったのだ。 安倍首相みずからが電話をかけて、バイデン副大統領の発言はオバマ大統領の広島訪問の価値を損ねかねない失言だと詰め寄るべきだったのである。 オバマ大統領はたじろいだに違いない。 それぐらいの外交力を示さなけば日本外交の出番はない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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