□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年1月4日第6号 ■ ============================================================== ついに火を噴いたイランとサウジの対立の深刻さ ============================================================== サウジアラビアが国内のテロ関与者47人を処刑した。 その中にシーア派の有力者が含まれていたことに反発し、テヘランの群衆がサウジアラビア大使館を襲撃し、イランの最高指導者ハメネイ師がサウジアラビアは「神の報復を受けるだろう」と非難した。 これに対してサウジアラビアはイランとの国交断絶で応じた。 ついにイランとサウジの対立が火を噴いたのだ。 この対立をシーア派とスンニ派の宗教対立と単純に考えてはいけない。 この対立が起きた根源は、そもそもサウジアラビア王制の危機にある。 オイルマネーを独り占めしてきたサウジアラビア王制に対するサウジ内部の反発は、つねにサウジアラビア王制を脅かして来た。 それを抑え込んできたのがオイルマネーの力であったが、そのオイルマネーが原油の値下がりで急速に枯渇しつつある。 サウジ王族は王制崩壊を危惧し、国内の取り締まりをこれまで以上に厳しくしてきた。 今回の47名の処刑もそのあらわれである。 処刑された47人の大半はアルカイダのメンバー、すなわち堕落したサウジ王族に反発するスンニ派原理主義者、であるところに注目しなければいけない。 ただでさえ不安定なサウジアラビアが、サウジの王制に批判的なシーア派の大国イランと対立するようになれば、いよいよサウジは危うい。 サウジ王国が崩壊すれば湾岸諸国は中東政治の草刈り場と化す。 そうなればますます中東は混乱する。 そして今の米国には、イランとサウジの両国を調停する力はない。 火を噴いたイランとサウジの対立の本当の深刻性はそこにある(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)