□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2015年9月28日第795号 ■ ============================================================= 憲法解釈変更を一日で決めていた内閣法制局 ============================================================= 今度の安保法案の強行採決のプロセスは、あらゆる意味で法の支配を否定したものであったが、またひとつ驚くべき事実が毎日新聞のスクープで明らかになった。 きょう9月28日の毎日新聞が一面トップで大スクープ記事を掲載した。 すなわち、昨年7月に安倍首相が集団的自衛権行使容認を解釈改憲で行おうとした際に、内閣官房の国家安全保障局からその合憲性(違憲性)の審査を求められた内閣法制局の憲法解釈を担当している第一部の担当参事官が、わずか一日で「意見はない」と電話で答えていたというのだ。 しかも、その結論に至る内閣法制局の内部議論を示す文書が一切残っていないという。 驚くべき内閣法制局の責任放棄だ。 私も外務官僚の時代に何度も内閣法制局と仕事をしてきたが、こんなことは考えられないことだ。 しかし、その担当参事官を責めるのは酷だ。 これは内閣法制局長官の決定事項だったのだ。 これを要するに、今度の集団的自衛権の行使容認と、それ法律にした安保法は、安倍首相と外務官僚(谷内正太郎NSC事務局長、小松一郎内閣法制局長官ら)が、この国の法の支配をハイジャックして実現したものだったということだ。 そしてそれを可能にしたのが人事である。 官僚の出世欲を巧みについた恣意的人事により、すべてを従わせる。 それに負けた官僚が、公僕意識をかなぐり捨てて黒を白と言いくるめる。 これが安倍政権の現実である。 そしてそれは外交・安全保障の分野に限らず、あらゆる政策分野で横行している。 日本という国は、8年前に首相の座を放り投げて敵前逃亡し、その時点で政治家失格だった安倍晋三という一人の男を甘やかし、総理にまでさせて、ここまで壊されてしまったということだ。 しかも、それを倒す者が誰ひとり出てこないまま、さらなる横暴を許している。 なんという政治の体たらくであろう。 われわれ国民はどうすることもできない。 すべては政治家という特権を与えられながら、何もできない政治家の責任である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)