□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年7月2日第455号 ■ ============================================================== 安倍解釈改憲よりも深刻なこの国の憲法9条なし崩しの動き ============================================================== 私は5月15日の安倍首相の集団的自衛権行使容認の記者会見を聞いた時から、もはや安倍首相に対してはまともな議論は通用しないと割り切った。 だから、あらゆる議論は無駄だ、すべては政局絡みの茶番に終わると言い続けて来た。 そしてその通りになった。 7月1日の安倍政権の閣議決定の強行は歴史に残る暴挙であるが、それ自体は安倍首相にとって決して政治的にプラスにはならないと私は思っている。 やはり、解釈改憲を閣議で強硬したという汚名は、どのように言い訳しても歴史に残る。 しかも、そこまでして行った集団的自衛権の行使容認が、平和国家を守る、つまり憲法9条を守るためだと言っているのだから自己矛盾も甚だしい。 この点につては、6月30日の産経新聞「正論」で改憲論者の西修駒沢大学名誉教授がいみじくも指摘していた。 「内向きの限定的な解釈に拘泥するあまり、国際的には通用しない議論が展開されている」と。 その通りなのである。 改憲論者はみな安倍首相の覚悟の無さに呆れかえっているに違いない。 安倍首相の5月15日の記者会見も、そして7月2日の記者会見はもっと矛盾しているが、この閣議決定そのものは、実は笑いものなのである。 ほとんど意味をなさないものなのである。 しかし、私が憲法9条の危機を憂うのは、閣議決定そのものではない。 すでに現実に起きている憲法9条否定の政策であり、これから猛烈な勢いで進む、自衛隊法の改正を含む法改正による憲法9条の否定である。 すでに武器輸出三原則の放棄やODAの軍事使用、さらには南スーダンPKO隊長のシビリアンコントロール逸脱など、かつてならあり得なかった憲法9条違反が、安倍政権の下で公然と行われて来た。 今後は、法改正という名で憲法9条否定の「法の下剋上」が加速するだろう。 安倍自民党政権の関係者は一様にそれを口にしている。 閣議決定だけでは何もできない。 こらからは国会で法律を成立させて、国民の理解の下で行うと。 今度の閣議決定で分かった事は、いまの政治は安倍首相の解釈改憲に無力であっても、世論は解釈改憲を許さなかったということだ。 世論の声に押されて、大手ディアも最後は安倍首相の閣議決定強行に批判的にならざるを得なかった。 たとえそれがアリバイ作りであってもだ。 しかし、個別法案となると、国民は無力だ。 政治が一強多弱の今の政治状況では、どんな法律も通ってしまう。 そしてその法案成立阻止に国民は無力だ。 私は危機感を覚えるのはまさしくこの点である。 なし崩し的に憲法9条は捨て去られる。 それを防ぐためにも、私は砂川判決の欺瞞を正面から追及し、国民を目覚めさせる必要があると思っている。 砂川判決の再審請求とその差し戻しこそ、我々国民が出来る憲法9条を守る戦いの場にしなければならない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)