□□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年6月19日第415号 ■ ============================================================== スコウクロフトの正しさと誤り ============================================================== 最後にもうひとつだけニューズウィークの記事を引用して終わらせてもらう。 これですべてを紹介することになる。 いうまでもなく、我々は誰一人、正しい事を断言はできない。 しかし、私には、あの時、レバノンで見聞きしたことがはっきりとよみがえってくる。 そして、やはり同じことを考え、言ったと思い浮かべるのだ。 誰が、どのような事を後講釈してみても、あの攻撃は誤りだった。 それを誰ひとり、止められなかった。 その責任は止められなかった皆にある。 戦争を止められなかったということはそういう事である。 あれこれ論評するよりも、目の前の殺戮を止めて見ろ、ということである。 私が言いたいのは、ただ、その事だけである。 政治コラムニストのレイハン・サラムという記者が、こういう書き出しの記事を書いている。 「アメリカが2003年にイラクに侵攻したのは大きな間違いだった。そして11年に米軍がイラクから撤退したこともまた、大きな間違いだった」と。 その要旨はこうだ。 イラク情勢につて当初から正しい見方をしていた人は数えるほどしかいなかった。その一人が父ブッシュ政権で国家安全保障問題担当大統領補佐官をつとめたブレント・スコウクロフトだ。 彼は、ブッシュ(息子)とその側近たちがイラク政権転覆を画策していた02年8月、W・S・J紙に論説を投稿し、イラクを攻撃すれば「われわれが行ってきた地球規模の対テロ作戦を危険にさらす」と警告した。 これは正しかった。もしこの意見に米国政府が耳を傾けていれば・・・というわけだ。 そして、スコウクロフトはもう一度、正しい事を言っていたとサラム記者はいう。 つまり08年にカーター政権でやはり同じく安全保障問題担大統領補佐官を務めたブレジンスキーとの対談本「アメリカと世界」の中で、スコウクロフトは、イラク撤退の決断は誤りだった。米軍が駐留し続けていれば宗教対立を抑制し、過激派組織の勢力拡大も防げた。米軍の駐留は少なくともあと数年は必要だ、と主張していた、と。 米国は、このスコウクロフトの二度の警告に従っていたら・・・という訳だ。 しかし、サラム記者は大きな間違いをしている。 米国政府関係者の中ではスコウクロフトぐらいしか警告しなかたかもしれないが、当時、レバノン人は、いや中東の民は、みなそう言ってた。米国がイラクを攻撃すれば大変な事になると。 この民衆の声を聞かない権力者こそが間違ていたのだ。本気で米国政権を止めようとしなかたスコウクロフトも含め。 そしてスコウクロフトは決定的な誤りを唱えている。 それは、米軍のイラク撤退は誤りだった、早すぎたという警告である。 これもまたレバノン人やアラブの民は、みな言っていた。 米軍にイラクを破壊することは一日あれば出来るが、イラクを安定化させることは永久に出来ないと。 だからこそ、米国はイラクが不安定化している事を知りながら、撤退せざるを得なかったのだ。 平和を願う一般の声は常にただしい。 それは大国の戦争に苦しめられる過激派だってそうだ。 スコウクロフトは米国政府内では比較的まともな人物だとは思うが、しょせん米国政府内の人間だ。 米国政府の考え方が根本的に間違っている。 一般の声に耳を傾けないから間違うのだ。 このレイハン・サラムという記者の記事でひとつだけ正しい事を書いている。 それは次のような結論部分だ。 ISISがイラクを支配する事実上の「国家」になることはない。この「国家」はその地域にもともとあった国家よりもろい。ではISISの「国家」が崩壊した後はどうか。待っているのは、私たちの想像も及ばない大混乱かもしれない・・・ これが、あの時、米国がイラク攻撃を行った当然の帰結だったのだ。 それは皆が言っていた事だった(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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