□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年4月15日第313号 ■ ========================================================= 斎木次官の訪米を報じるメディアの間抜けぶり ======================================================== 私のように大手メディアの報道ぶりを毎日監察していると、手に取るようにわかる。 大手メディアがどんどんと劣化し、大手メディアの報じていることを読み流していては何もわからないのだ。 それどころかその記事を鵜呑みにしていると、とんでもない間違いを犯す事になる。 意図的に誘導する場合もあるだろう。 取材不足や怠慢で真実を伝えられないこともある。 いずれにしても今の大手メディアはどんどんとその使命を果たせなくなってきている。 その一つの例が斎木次官の訪米を報じるきょう4月15日の記事だ。 各紙が一斉に報じている。 斎木次官が14日に訪米したと。 いくらきのうが新聞休刊日だったとしても、この間延びした報道はどうだ。 しかし間延びしていたのはタイミングだけではない。 その内容はもっと空虚だ。 どの報道も判で押したようにオバマ訪日、日米首脳会談の準備のためだと書くだけだ。 このタイミングで訪米するのだからそれは当たり前である。 次官が訪米する以上、日米間で合意が得られていない懸案について、交渉、調整することが目的であるはずだ。 それが何かを取材して、それを読者(国民)に伝えてはじめて意味のある記事となる。 「オバマ大統領来日時に予定している日米首脳会談の環境整備」(4月15日日経)だけでは記事に値しない。 具体的に何が日米間で問題なのか。それを書かないと記事の意味はない。 それでは斎木次官が話し合う問題は何か。 TPPではない。TPPは甘利担当大臣が16日に訪米しフロマン代表と会談する(4月15日)。 斎木次官の出る幕はない。 日米同盟強化の確認か。 これも違う。 安倍首相は14日、米国の上下院20名の議員を官邸に招いて述べている。 日米同盟が果たしてきた大きな役割をオバマ大統領とともに強調していきたいと。 安倍首相にとってこれこそがオバマ訪米の最大の目的だ。 そしてすでにそのシナリオは出来上がっている。 安倍首相みずからはやくもばらしている。 斎木次官の出る幕はない。 ウクライナ情勢か。 これも違う。 ウクライナ情勢はもはや完全な米ロの天下分け目の一大外交問題だ。 その解決は長期に及ぶ。 日本が出る幕はない。 斎木次官どころか安倍首相の出番はない。 下手な口だしはするな。米国に従えとオバマ大統領が安倍首相に伝えるだけだ。 日本と中国や韓国との関係に至ってはもはや米国の立場は明らかだ。 米国のアジア戦略の足を引っ張るな。中国、韓国との関係改善に努めろ、と米国はさんざん日本に伝えて来た。 斎木次官が米国に飛んで行って何を話そうとしているのか。 それはズバリ北朝鮮との関係で米国の了解を得ることだ。 拉致問題をなんとか動かさなくてはいけない。 そのためには北朝鮮との出方次第では制裁緩和も一部緩和せざるを得ない。 お目こぼしをしてほしい、北朝鮮の核・ミサイル問題についても厳しい態度で臨むから見逃してくれ、六か国協議や日米韓の結束は守るから理解してほしい。 それを了解してもらうために安倍首相の命じられて斎木次官は訪米するのである。 おりしもきょう4月15日の各紙は書いている。 日本と北朝鮮の両政府は4月中にも外務省局長級協議を開く方向で調整していることが14日わかったと。 果たして米国はどのような反応を示すのだろうか。 せめてメディアは斎木次官の言葉をそのまま垂れ流すのではなく、実際に日米間でどのようなやりとりが行われたのか、それを日米の関係者から取材して正しく報じてもらいたい。 それがメディアの最低限の仕事である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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