□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年4月14日第312号 ■ ========================================================= 制裁緩和の了承を取り付けるために訪米した斎木次官 ======================================================== 斎木事務次官が急きょ米国を訪問することになった。 メディアはこれが4月のオバマ訪米の為の打ち合わせだと報じている。 すなわちTPPの最終調整であり、日米同盟強化の再確認をするためだと報じている。 そのニュースを聞いた国民は誰もがそうだと思うだろう。 しかし本当の目的はほかにある。 斎木次官にはTPPを話し合う権限はない。TPPの最終調整は甘利TPP担当大臣がフロマン代表に呼びつけられて行うことになっている。 日米同盟強化の再確認はすでに決まっていることだ。いまさら斎木次官が訪米して打ち合わせるような事ではない。 主要目的はTPPや日米同盟強化ではない。 斎木次官訪米の目的はズバリ北朝鮮問題だ。 すべての外交が完全に行き詰まり、ウクライナ情勢が悪化の一途をたどるなかで、もはや今の安倍首相にとって人気取りは拉致問題の進展しかない。 ここにきて日朝協議が急速に動き出したのはそのためだ。 安倍首相は制裁緩和と引き換えに北朝鮮に拉致再調査を約束させ、あわよくば新たな被害者を連れて帰ろうとしているのだ。 ところが北朝鮮の核・ミサイルを最重要視する米国は、北朝鮮が挑発を繰り返している時に、日本だけが制裁緩和を行う事を許さない。 靖国参拝で米国を失望させ、ウクライナ問題で米国を怒らせた安倍首相は、今度は拉致問題で米国の意向に盾突こうとしているのだ。 さすがに米国を無視して拉致問題を進めるわけにはいかない。 どうしても制裁緩和について米国の了解を取り付けておきたい。 了解が得られないまでも米国に説明をしておかなければいけない。 そのために斎木次官に訪米させたのだ。 しかし、それはうまく行かないだろう。 その事を斎木次官の先輩である田中均元外務審議官がきのう4月13日の日経新聞「永田町インサイド」で語っていた。 田中均元外務審議官とは2001年の小泉訪朝をお膳立てした外務官僚OBだ。 その田中氏がこう言っている。 (日朝協議が先行すると核問題を重視する米国が懸念する。あの時)チェイニー副大統領らネオコン勢力から小泉首相の訪朝を実現させないとの発言は色々伝わっていた、と。 しかし最後に決めるのは大統領だ。小泉首相とブッシュ大統領は盤石な関係があった。最後にブッシュ大統領は「訪朝を歓迎する」と言ってくれたと。 これは裏を返せば、このまま拉致問題の解決を急ぐようならオバマ政権の安倍首相に対する不信感はさらに強まると言っているのだ。 安倍外交に対する田中氏の痛烈な批判であり、そんな安倍首相の使い走りに成り下がっている斎木次官に対する先輩の嘆きである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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