□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年1月24日第81号 ■ ========================================================= ケネディ大使との単独インタビューを大きく掲載した朝日 =========================================================== きのう1月23日の朝日新聞はキャロライン・ケネディ駐日米大使との単独インタビュー記事を一面トップで掲げ、3面でそれを詳しく報じた。 19面のオピニオン欄でも紙面の半分を割いて取り上げる熱心ぶりだ。 その執筆陣も、加藤洋一編集員と山脇岳志アメリカ総局長が陣頭指揮を取る、文字通り朝日新聞社を挙げての一大インタビュー企画である。 私の記憶が正しければ、ケネディ大使がここまで大がかりなインタビューに応じたのは、着任の前も後も、この朝日新聞のインタビューが初めてだ。 この事は、後に述べるそのインタビュー内容と相まって、「朝日は米国の代弁者だ」という私の持論の正しさを改めて証明してくれた。 他紙に抜きん出た朝日の米国との緊密ぶりを使って、朝日がこのインタビューで伝えたかったメッセージはなにか。 それはズバリ一言でいえば、米国はまだ安倍首相を見捨てていないから、これから米国の命令に従って中国、韓国との関係を改善しろ、ということだ。 TPPではやく譲歩しろ、ということだ。 ケネディ大使はこう言っている。 靖国参拝をはじめとした安倍政権の対応には強く失望し、女性の人権にかかわる慰安婦問題への対応を誤ればその時は日米関係は深刻なものになるが、米国は安倍首相の歴史認識そのものを問題にしているのではない。中・韓との関係悪化を懸念しているのだ。だからこそ安倍首相は早く中・韓との関係を改善しなければならないのだ、と。 その一方でケネディは大使はこう言っている。 日米同盟の重要性は米国としても不変だ。普天間移設と基地統合についての昨年4月の合意は米国としても変更する考えはない、と。すなわち日本の軍事基地としての重要性を米国は最優先しているのだ、と。 あくまでも日米関係を揺るがせないとする米国と、そんな米国の代弁者として、日本国民に対して憲法9条と日米同盟の両立を洗脳する朝日の真骨頂である。 この朝日の単独インタビュー記事は、もちろん読者である日本国民に向けられて書かれたものである。 しかしそれは同時に安倍政権に対するメッセージなのである。 その証拠に菅官房長官は23日の記者会見ですかさずこう述べている。 「極めて重要な国だから友好関係は推進していきたいとも(大使は)発言されている。日米関係の重要性、緊密性はまったく揺るがない」と(1月24日朝日)。 朝日のインタビュー記事を見て安心したのだ。 ついこの間は、イルカ発言でケネディ大使を批判した菅官房長官だが、この朝日の記事を見て安心し、国民に向かって強気に転じたのだ。 興味深いのはこの菅官房長官の記者会見を掲載したのは朝日だけだということだ。 安倍政権と米国は日米同盟のこれ以上の悪化を食い止めようとしている。 その両国の仲をとりもっているのが朝日新聞なのである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)