□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年12月15日第949号 ■ ============================================================= 米国随員が米紙に漏らしたバイデン・習会談の実態 ============================================================ きょう12月15日の東京新聞に「米副大統領訪中の目的」と題する「太郎の国際通信」というコラムがある。 その中で木村太郎氏がこう書いている。 バイデン・習近平首脳会談に同席した米側随員がロサンゼルス・タイムズ紙の記者に次のようにもらした、と。 「二人の間の活発な意見交換には正直びっくりしましたよ。お互いに居心地良さそうでしたし、個人的な話や逸話や自分の分析に基づいた話などを喜々として話していました」 そして木村太郎氏は、次のように続ける。 5時間半にわたる首脳会談や晩餐会を通じて、経済問題から北朝鮮問題や中東問題などについて幅広い意見交換が行なわれたと見るべきだ。 実は、バイデン副大統領の今回の旅の目的も中国とのさらなる意思疎通を通じて経済交流の促進を図ることだったといわれている。 それはホワイトハウスのライス国家安保担当補佐官が「米国は中国との新しい大国関係を機能させようとしている」と述べたこととつながる。 これは習主席の提唱している「米中二超大国体制」を容認したことではないか。 オバマ政権のアジア政策は、はじめ「基軸戦略」という中国封じ込めの方針が打ち出されたが、提唱者のクリントン国務長官が去り、「リバランス(再均衡)戦略」に変わった。 その狙いは、中国と経済的緊密化を図ると同時に、日本など周辺同盟国との関係を強化して安全保障上のバランスを図るものだった。 しかし、米国の対中政策はさらに変化し、いまや米国は中国との経済提携に軸足を置いた「リバランス」になりつつあるのではないか。 以上が木村太郎氏のコラムの要旨である。 この木村太郎氏の指摘は実はいまでは珍しくない。 さすがに名前を明かして堂々というのはこの木村氏ぐらいだが、多くの識者が名を伏せて語っている。 おそらく安倍政権内部の中でも、米国の真意について疑心暗鬼である者が多くないはずだ。 安倍政権の外交・安保政策の最大の誤りは、それにも関わらず、その米国の真意を確認できず、疑心暗鬼のまま、日本の外交・安保政策を安倍首相の思い込みでどんどんと進めようとしているところである。 それが来年早々に一斉に動き出す国家安全保障戦略であり、具体的には辺野古移転の強行、集団的自衛権行使の容認、武器輸出三原則の廃止、自衛隊活動の拡充、防衛予算の増額などなどである。 秘密保護法案の強行採決などもその一つだ。 米国はそれが米国にとって有益であるかぎり歓迎するが、少しでも害になれば待ったをかけて来る。 要するに安倍首相が進めようとしている事は、日本の外交・安保にとって役に立たない税金の無駄遣いなのである。 この間違った政策をつくり、推進する司令党こそ、谷内正太郎事務局長の日本版NSCである。 木村太郎氏はそのコラムを次のように締めくくっている。 「・・・そうした中で日本がどうサバイバルをはかるか、新設される日本のNSC(国家安全保障会議)は、冷戦思想を脱した新しい国家戦略の策定が急務の課題になりそうだ」、と。 こんなわけの分からないことを書くところが木村太郎氏の限界である。 明確にこう書くべきだ。 このままでは日本版NSCは日本の為にならない。米中が進めようとしている米中二超大国体制づくりこそ時代遅れの覇権主義である。そのような米中から自主、自立した、日本の国益を優先する本来の日本外交、安全保障政策を追求することこそ日本版NSCの役割だ。その絶好のチャンスが来ていると捉えるべきだ。それがわからないようではNSCは有害だと。 木村太郎氏もまた正しいことを言えない一人である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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