□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年8月30日第650号 ■ ============================================================= 潘基文国連事務総長の謝罪発言を演出する政府とメディア ============================================================== 潘基文国連事務総長が安倍政権の歴史認識や憲法改正の動きを痛烈に批判したのは8月26日にソウルの韓国外務省で行なわれた記者会見の場であった。 これは異例の厳しい対日批判であるが、それを日本のメディアはあえて大きく取り上げようとしない、都合の悪い事はあえて無視しようとするかのようだ、と私は8月27日のメルマガ第644号で書いた。 それに反発したわけではないだろうが、その後、読売と産経がこの発言を大きく取り上げ、「中立的であるべき国連事務総長がここまで日本を批判することは許せない」とばかり社説で批判した。 批判されれば強く反発する安倍首相も、すかさず外遊先のクウェートで同行記者団に反発した(8月27日日経)。 そして安倍首相の女房役である菅官房長官も、27日午前の記者会見で「わが国の立場を認識した上で(発言が)行われているのかどうか、非常に疑問を感じている」と不快感を示した上で、「事務総長(発言)の真意を確認し、引き続き、日本の立場を国連などで説明していきたい」と述べた。 確かに潘基文国連事務総長の日本批判は異例だ。 潘基文氏の国連事務総長としての器量についてはこれまでも様々な問題が指摘されてきた。 しかしそれでも相手は国連事務総長である。 そして国連事務総長が特定国の政権を批判する事は例外的にある。 それはその国の政策が国際的に見て批判されるに十分な場合だ。 アナン事務総長でさえ米国のイラク攻撃は国連憲章違反だと批判したことがあった。 そしてそれに対し米国は反発しなかった。 安倍首相や菅官房長官が潘基文国連事務総長発言批判するのは自由だが、そんな事を続けていれば日韓関係はさらに行き詰まる。 米国もそのうち何かを言い出す。 国際社会からも支持は得られない。 振り上げた拳のおとしどころが必要になってくる。 そう思っていたら早速きょう8月30日の読売新聞が書いた。 潘基文国連事務総長は自らの発言を釈明したと。 そしてそれに呼応するように菅官房長官は29日に、「(発言の)真意はある意味で明らかになった」と述べて、今後問題視しない考えを示したという(8月30日読売) 安倍政権と読売新聞の見事な幕引きの連携プレーである。 それにしても本当に潘基文国連事務総長は自らの発言を釈明したのだろうか。 釈明とは間違いを認めて謝罪するとのニュアンスがある。 そんな面子まるつぶれの釈明を国連事務総長が行なうことはあり得ない。 そう思って読売新聞のその記事をよく読んでみて笑ってしまった。 欧州出張中の松山政司という外務副大臣が訪問先のハーグで潘基文国連事務総長に立ち話を求め、それに応じた潘基文国連事務総長が「安倍政権の立場は知っている」、「日本のみについて指摘したものではない」と述べたという。 そう釈明したと、松山政司副大臣の同行筋が語ったという。 これじゃあ「釈明した」というのは誤報ではないか。 誤報というのが言い過ぎなら、潘基文国連事務総長の発言を釈明と強弁する脚色記事ではないか。 実際のところ潘基文国連事務総長はハーグで記者会見し「日本の政府や、メディアに誤解があり、残念だ」と述べている。 そもそも。歴史認識に関する国連事務総長の重大な発言について、たかが外務副大臣ごときが非礼にも立話で真偽を確認するなどということがどこの外交の世界でありうるというのか。 菅官房長官は、それを自分が松山副大臣に指示して行なわせたと自慢げに語っている。 そして発言の真意は「ある意味で明らかになった」からこれで終わりにするという。 「ある意味」とはどういうことか。 このような重要な問題で、相手の意図が十分にわからないまま終らせることがありうるのか。 それははじめから相手の真意を確かめるつもりはなかったということだ。 相手の真意を確かめると記者会見で語った時から振り上げた拳の落としどころを探っていたのだ。 それの結果が読売新聞の記事である。 しかし私が驚いたのは、この釈明記事を書いたのは読売新聞だけではなかったところだ。 8月30日の産経はもとより、朝日も、東京さえも同じように国連事務総長が釈明したと報じている。 メディアは安倍外交を正しく報じていない。 安倍政権と一緒になって安倍外交を演出しているのである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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