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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

シリア情勢の正しい解決策は何だったのか
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2013年8月29日第649号 ■   =============================================================   シリア情勢の正しい解決策は何だったのか    ==============================================================  きょうのメルマガはシリア情勢を書くことにとどめておく。  今の私の思いを真っ先に書きとどめておく。  どうやら有志連合のシリア攻撃が始まろうとしている。  それはあたかも10年前のイラク攻撃のようだ。  しかしあの時のイラク攻撃と今度のシリア攻撃とはまったく事情は異なる。  私はあの時のイラク攻撃には断固反対したが、今度のシリア攻撃は、たとえそれが行なわれたとしても、止むを得ないと思っている。  それが懲罰的な限定的空爆で終わり、その攻撃の影響が中東の混乱に波及しないことを願うばかりだ。  そして私はそうなるだろうと思っている。  あの時と違って米国はシリアを支配する気は毛頭ない。  あの時と違って反米、反パレスチナ武装抵抗組織がアサド政権に同情したり加担したりすることはない。  イランやヒズボラがアサドと心中する気はない。  もちろん、シリア空爆なくしてシリア情勢が解決できれば一番いい。  そしてそれにはアサド政権の自発的退陣しかなかった。  早期退陣をしていればこれまでの無駄な犠牲は避けられた。  その意味でアサド政権の責任は万死に値する。  私はレバノンに3年ほど勤務したおかげでアサド政権の絶対悪を目撃できた。  アラブの春がシリアに及んだ時、私はついにアラブの春が最終段階に来たと思ったものだ。  しかしアサド体制はそんな事で負けるほどやわではなかった。  あらゆる弾圧、脅し、情報操作を繰り返し、犠牲者を積み重ねた。  それを許したのが、かつてアサド政権を、「毒を持って毒を制す」といわんばかりに利用してきた米国だった。  つまりアサド独裁政権に反米パレスチナ武装抵抗組織を押さえ込ませたのだ。  あの時米国がシリア国民を支持してアサドの退陣を決断していたなら、今回の空爆の事態は避けられた。  やはり、中東のあらゆる動きがそうであるように、米国の責任は大きい。  米国の決断の遅さがここまで事態を悪化させたのである。  それでもロシアと中国が国連安保理決議に賛成していれば事情は違っていただろう。  国連安保理の一致した決議を前にしては、さすがのアサド政権も退陣するしかなかっただろう。  ところがロシアと中国は自国の利害を優先してアサド政権を擁護し続けた。  拒否権発動を繰り返し、国連の平和機能をマヒさせた。  この罪は大きい。  考えても見るがいい。  ロシアや中国に、「武力行使は解決につながらない」などと言って平和を語る資格などあるはずはない。  いまでは中国は沈黙するようになったが、ひとりロシアがアサド政権を擁護している。  とんでもないことだ。  空爆につながる今日のシリア情勢を招いたもう一つの大きな責任は、間違いなくロシアと中国にある。  それでは、空爆後のシリアや中東情勢は混乱するのか。  イラク攻撃の後のようにテロが続発するか。  そうならないと私は思う。  シリアがイスラエルを反撃するか。  それはありえない。  それをすればそれこそシリアは自殺行為になる。  イスラエルと米国の軍事力の前ではひとたまりもない。  イランやヒズボラが空爆に反対して中東を混乱に陥れるか。  それもあり得ない。  イランの目的は核開発を進め、イスラエルや米国と対抗できる国になることだ。  ただでさえ米国、イスラエルとの関係が微妙な時に、シリアごときのために米国、イスラエルと戦争をはじめる愚をおかすことはない。  私が笑ってしまったのは、安倍首相が中東訪問先でアサド政権の極悪非道に言及し退陣を要求したことだ。  それは私の立場と同じだ。  しかし外務省はこのような意思表示をしたのははじめてだ。  これは米国がシリア攻撃に踏み切った事を見て、米国が決断した以上、もうシリアをいくら批判してもいいと判断したということだ。  中東のことを何も分かっていない安倍首相は、外務官僚の言われるままにそれをしゃべったのだ。  それにしても、シリア攻撃前夜という中東情勢の緊迫状況の中で、間が悪く中東外遊中に、このような重大な発言をせざるを得ない。  それもこれも中東情勢を正しく把握してこなかったせいだ。  用もないのに地球儀外交を繰り返して日本を留守にするからだ。  最後に日本のメディアについて書いておく。  私はきょう8月29日の各紙を注意深く読んでみたが、どれ一つとしてまともな報道はなかった。  社説に掲げたのは朝日、毎日、東京だけだった。  しかもいずれも武力行使に慎重姿勢を示している。  「外交手段はつきたのか」(東京)、「米は軍事介入を急ぐな」(毎日)、「国連の調査が先だ」(朝日)と書く。  誰でも書けるあたり前の事だ。  これ以上の外交手段がなかったからこうなったのではないか。  国連が正しく調査できるというのか。その調査結果をシリアやロシアが認めるというのか。  いずれも今度のシリア攻撃に是非について自らの答えを明示できない逃げの社説だ。  日本には中東情勢を正しく語れるものはいない。  このような状態で日米軍事同盟を進めて行く事はあまりにも危険である(了) ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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