□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年8月28日第646号 ■ ============================================================= 米国の圧力で軽自動車増税を飲まされる日本に思う ============================================================== こうなることは分かりきっていたはずだが、やはりこの報道を見ると日本政府の度し難い対米従属振りに唖然とさせられる。 きょう8月28日の毎日新聞が報じている。 政府はついに軽自動車税を増税する検討を始めたと。 TPP交渉に「参加させてやる」条件として、日本が米国との事前協議とやらで譲歩したのは4月だった。 その一つが自動車分野の全面的譲歩だった。 すなわち、米国自動車の関税引き下げは行なわず、その一方で、日本の軽自動車への課税強化や安全基準の厳格化を行なうというものだ。 米国自動車業界の利益を最優先し、一方において日本車の輸入を防ぎ、他方において日本市場に米国車を売ろうとする米国。 生活に苦しい大部分の日本国民は安くて効率的な日本の軽自動車を好む。 そのため米国自動車が売れない。 だから、少しでも軽自動車を高くしろ、という米国の理不尽な要求を日本政府は飲まされたのだ。 それから4ヶ月、あっさりと増税を検討することにしたわけだ。 なぜここまで米国は自国の要求を押し通そうとするのだろう。 その答えがきょう8月28日の読売新聞に掲載されている。 元通産官僚の佐伯英隆氏(京大特別教授)が、「TPP 戦略を聞く 上」という特集記事の中で、 彼がかつて世界貿易機関(WTO)の委員を務めていたときのエピソードを次のように語っている。 すなわち米国がグアテマラ産の繊維製品輸入を規制したことがあった。 その時グアテマラ政府が「輸出しているのはグアテマラに進出した米国企業であり、規制するのはおかしい」と訴えたことがあったという。 これに対し、米通商代表部(USTR)は次のように言い切ったという。 「我々が守るのは、米国に根付き、米国人を雇用し、米国で税金を納めている企業だ。それは外資系であろうと、米国企業であろうと関係ない」と。 それを聞いた時、米国の雇用保護を最優先に掲げる米国の姿勢に、目からうろこが落ちる思いがした、と佐伯氏は述懐しているのだ。 いまでもなく経済はいまやグローバル化している。 だから自由貿易といい保護貿易といい、その利害得失は複雑だ。 それにも関わらず、それぞれの国が追及する国益はある。 米国の場合はそれがその国の雇用であると言っているのだ。 佐伯氏がWTOの委員だった1990年代と今とはもちろん違う。 米国のTPP推進の背景には、米国の雇用だけが念頭にあるのではないだろう。 あるいは大企業の利益を優先したり、安全保障を念頭に置いたりしているのだろう。 しかし、はっきり言える事は米国はその時の明確な戦略を持って交渉を進めるということだ。 ひるがえって日本はどうか。 日本のTPPをめぐる戦略では、それがまったく整理されていないと佐伯氏は言う。 海外に展開している企業の利益なのか、国内で雇用を守っている中小企業なのか、それとも国内農家なのか、と。 確かにTPP交渉のこれまでの議論を眺めると混乱の極みである。 だから議論が深まらない。 しかし一つだけはっきりしている事がある。 日本政府や官僚の頭にあるのは最後は対米従属を優先するという事である。 ここが日本と他の交渉参加国との最大の違いである。 日本のTPP問題は、突き詰めればここに行き着くと私は思っている(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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