□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年7月8日第497号 ■ ============================================================= エジプトの軍事革命を明確に否定した池内恵教授の正しさ ============================================================== 米国への追従なのか、それとも単に中東情勢についての無知なのか、日本のメディアも、そしてメディアに登場する有識者も、誰一人として今度のエジプトの軍事クーデターを明確に否定する論評を書かない、語らない。 暴力はいけないとか、話し合いで安定政権をつくれとか、民主化を進めろとか、どちらにも与しない中途半端で当たり前のものばかりだ。 そんな中で軍事クーデターを明確に否定する論評をはじめて目にした。 きょう7月8日の産経新聞「正論」で中東専門の池内恵東大准教授が要旨次のように書いていた。 「今度の大規模デモは二年半前にムバラク大統領を退陣させたものと同様に見えるかもしれないが内実は大きく変質している。あの時は長期独裁政権が奪った人間の尊厳回復という明確な大義名分があり、それ故に世界が賛辞を惜しまなかったが、今度は『ムスリム同胞団の政権打倒』だけがスローガンとなった。これならムバラク政権の姿勢と変わらない。それどころか『民衆の意志』の名の下に堂々とムスリム同胞団政権を弾圧できる。大統領選でムルシ氏に敗れたシャフィーク元首相を推した旧体制派による『デモ乗っ取り』を匂わせる。実際のところシャフィーク氏はデモを歓迎する声明を出し、ムバラク前大統領は『今回のデモは自分が辞めさせられたときのものより大きい』とほくそ笑んだと伝えられた。6月30日のモルシ打倒の大規模デモは2ヶ月前から公然と始まっていたにも関わらず警察当局は何の手も打たず、国防相はデモ直前に民衆の意思を支持するという発言を行ない、大騒動を起こせば軍が味方になって政権を倒してくれることを印象づけた。これによって『勝ち馬に乗る』形でデモが膨れ上がった。襲撃されて死者が出ているのはムスリム同胞団だったが警察当局は同胞団を大量摘発し、メディアも同胞団の武装化の恐怖を煽った。今回の政変を『イスラム主義(ムスリム同胞団)に対する世俗主義の反発』とする論評は全体像をとらえていない。エジプト国民の大多数は世俗主義を嫌っており、その点で同胞団は民意から離れていない。確かに同胞団の政権運営には独善的なところがあり、ムバラク政権と同様の専制政治を今度は同胞団が行ないうる危険性はあったが、しかしそれとても大統領選挙に敗れたリベラル派が立憲過程をひたすらボイコットして同胞団政権に協力しなかったからだ。同胞団以上に野党側に柔軟性がなかったのだ。同胞団が政治権力を握り続けることを嫌う勢力が合流し、大規模デモを起こす動きを、軍が絶好の機会と見て権力奪還を狙ったというのが真相に近い。今後は軍と警察の不興を買う政策は誰も採れない。エジプトは民主化のボタンを大きく掛け違えた。しかもエジプトにとどまらない。今度のエジプトの軍事クーデターは反革命の手法のモデルを中東に示した。『アラブの春』は遠ざかっていく。 ここまで明確に今度のエジプトの軍事クーデターを批判した記事ははじめてだ。 そして私は池内氏の見方に賛同する。 最後に、その池内氏が一言も触れていないことを付加えておく。 「アラブの春」を一番嫌っている国こそ米国・イスラエルであり、それに従属する湾岸諸国やヨルダンであるという事を(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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