□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年5月2日第316号 ■ ============================================================== 「主権回復の日」式典の醜悪を象徴した「天皇陛下万歳」事件 ============================================================== あらゆる矛盾が指摘され、誰もが納得しなかった「主権回復の日」の式典が、それでも安倍首相の手で強行されたのは4月28日だった。 その直後に安倍首相は逃げるように外遊に飛び立ち、メディアは外遊のことばかり報じるようになって、もはや「主権回復の日」式典はすっかり過去のものになった。 しかし「主権回復の日」式典の問題は、まさしくその式典が行われた最後の最後に凝縮されるようにして爆発した。 いうまでもなく、それは「天皇陛下万歳」ハプニングである。 その時の模様を唯一われわれに教えてくれたのが5月1日の東京新聞「ニュースの追跡」だった。 その光景は次の如くだ。 「・・・式典は東京・永田町の憲政記念館で開かれ、沖縄に配慮して祝賀行事とはせず、天皇陛下のお言葉もなかった。ところが菅義偉官房長官が閉式の辞を述べた直後、会場内から男性の声で突然、『天皇陛下バンザーイ』と叫ぶ声が上がった。それにつられる形で壇上にいた安倍晋三首相や伊吹文明衆院議長らをはじめ、各知事を含む出席者の多くが万歳三唱。両陛下はやや困惑したような表情を浮かべ、そのまま退席された・・・」 東京新聞のその記事は、「天皇陛下万歳と叫んだのは自民党の国会議員と見られる」と書いている。 (その国会議員が誰であるかを主催者である政府に)取材したが、「回答はなかった」と書いている。 この件について菅官房長官は4月30日の記者会見で次のように語ったという(5月1日産経) 「(出席者が『天皇陛下万歳』と唱和したことについて)全く予想していなかった。自然発生的に発せられたものではないので政府として論評すべきではない」 これは重大な責任逃れだ。 これはおかしい。 「主権回復の日」式典は政府が主催した式典である。 式典のハプニングを防げなかった責任は主催者たる政府にある。 予想していなかったとはいえ安倍首相以下出席者が全員「天皇陛下バンザイ」を唱和したのだ。 その事の持つ意味がいかに深刻であるかは、東京新聞が書いている次のエピソードを知るだけで容易にわかる。 すなわち第二次大戦中、国民は「天皇は神」、「日本軍は皇軍」と教え込まれた。唯一地上戦となった沖縄では住民が日本兵とともに「天皇陛下万歳」と叫びながら自ら命をたった。沖縄からの入植者の多かった米サイパンには、1944年6月、上陸した米軍に追い詰められた旧日本軍兵士や住民らが「天皇陛下万歳」と叫んで岬から次々身を投げた。2005年に島を慰労訪問した両陛下はその岬に向かって黙祷された。 そのような含蓄のある言葉を天皇陛下の前で唱和したのだ。 安倍首相以下閣僚や、与党の国会議員が唱和したのだ。 それが「主権回復の日」式典の最後で行われたのだ。 これほど天皇の心を踏みにじるものはない。 式典の光景をテレビで見た国民は知っているはずだ。 両陛下は壇上で終始うなだれて式典を耐え忍ぶようにされていた。 そして式典の最後に、「天皇陛下万歳」という言葉を浴びせられ、その中を退場された。 これほど天皇陛下の気持ちをないがしろにする行為はあるだろうか。 「天皇陛下万歳」を叫んだ国会議員が歴史を知らないとすればあまりにも軽率だ。 歴史を知ってそれを叫んだのなら噴飯ものだ。 つられて唱和した安倍首相以下政府の要人の責任らは歴史を知っていようがいまいが、その重大な責任は免れない。 それを「自然発生的な出来事で政府として論評すべきではない」と記者会見で発言した菅官房長官はあまりにも不遜だ。 これほどまでに異常で重大な出来事を、東京新聞を除いてどのメディアも一切取りあげようとしない。 最後の最後まで矛盾に満ちた「主権回復の日」式典であったということである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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