□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年4月20日第281号 ■ ============================================================== カミュの小説「ペスト」のリウーとタルーを目指す ============================================================== 読者の一人から過分の賛辞を頂いた。 そのメールは、私の発信を読み続けていくうちに、カミュの傑作小説「ペスト」に出てくる二人の主人公を重ね合わせると次のように書かれていた。 「ペスト」は、ペスト菌に襲われるアルジェリアの都市オランを舞台にした小説です。菌を拡散させないために、交通や情報が遮断され、都市全体が外界から完全に隔離される中、死の恐怖に怯え右往左往する無力な市民たち。その弱き人々に徹底的に寄り添い、医師としての使命を淡々と果たすリウーと、実際に何が起きているのか、何が知らされていて何が知らされていないのか、事の全容と真実を克明に記すジャーナリストのタルー。ペストは、この世の不条理(戦争、貧困、圧政、権力支配、人権の蹂躙・・・)の象徴で、オランはまさに日本の、そして、様々な不条理に苦しめられている世界中の多くの人々のおかれた状況と酷似しています。リウーとタルーは、その不条理を知りながら、それを生み出す支配側に加担せず、無知で無力な犠牲者である愛すべき仲間たちの側に立つ決意をした人々です。確かに、リウーはそのような生き方は「限りなく続く敗北」だとも告白します。 (引用)「なるほど」とタルーはうなずいた。「言われる意味はよくわかります。しかしあなたの勝利は常に一時的なものですがね。ただそれだけですよ。」リウーは暗い気持ちになったようであった。「常にね、それは知っています。それだからといって、戦いをやめる理由にはなりません。」・・・「ええ、そうです。」・・・・「限りなく続く敗北です。(終了) 限りなく続く敗北を知りながら、「戦いをやめる理由にはならない」というリウー。冷静沈着で、いかに過酷な状況においても患者を救うためになすべきことをする、人間愛と医師としての信念に揺らぐことのない姿があります。かたや、タルーは言います。 (引用)「僕は自分が何千人という人間の死に間接に同意していたということ、不可逆的にそういう死を引き起こすものであった行為や原理を善と認めることによって、その死を挑発さえもしていたということを知った。」「まあ、そういうわけで、僕は災害を限定するように、あらゆる場合に犠牲者の側に立つことに決めたのだ。彼らの中にいれば、僕はともかく捜し求めることはできるわけだ・・・」(終了) タルーが支配側に与することを拒否して生きる決意をしたのは、彼自身が心の平和を求めたのと同時に、「捜し求める」ため、つまり「人は神なくして聖者になれるか」という個人的命題への挑戦のためでした(タルーは神に頼らず生きることを選んだ人間です)。このタルーの命題は、現代の日本に生きる私たちにはすごく示唆的です。つまり、「神によらず聖者になれるか」とは、言い換えれば「神のためではなく、正義や隣人のために死ねるか」ということです。結局、彼自身もペストに倒れ死にます。西洋的には、神と決別した人間に勝利は認められないという感覚があるのかも知れません。しかし、タルーは「不正義に加担したくないという正義」を貫いて死んだのであり、私はタルーが挑戦に負けたわけではないと思っています・・・ 翻って、日本のおかれた不条理。私たちには何ができるのでしょうか。タルーは言っています。 「人間のあらゆる不幸は、彼らが明瞭な言葉を話さないところから来るのだということを、僕は悟った。そこで僕は、間違えのない道をとるように、明瞭に話し、明瞭に行動することにきめた」 和を尊び、和を第一に考えるのは日本人の徳でもあります。しかし、それによって権力による不正や横暴に対しても沈黙してしまうとしたら・・・。カミュは、支配側のことを「理性的な殺人者」と呼んでいますが、沈黙する個人は、意図的にではなくても、知らず、知らず「理性的な殺人者」にひょう変してしまうのです。不条理に対抗するためには、「明瞭に話し、明瞭に行動すること」であると、カミュは繰り返し訴えます・・・ 私が目指すインターネット政党はまさしくリウーとタルーの二人から成り立つ政党である。弱者の側に立って正義を追い求める事はもちろん最大の目的である。しかしそのためには真実を発信し続けるメディアを持たなくてはならない。インターネット政党が出来た暁にはその政党の資金を使って新しいメディアを立ちあげることを目指したい。インターネット政党の目指すものはカミュの言う「限りなく続くい敗北」かもしれないが、そしてそれは私のこれまでの思いでもあったが、カミュの時代にはインターネットはなかった。インターネットでつながる不特定多数の同志がインターネット上で結集すれば、「限りなく続く勝利」に転じられると思っている(了)。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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