□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年6月18日第469号 ■ ============================================================== G20の土産は消費税増税反対派に対する外圧である ============================================================== 国内政治状況が緊迫しているはずなのによく野田首相はメキシコの G20に出かけられるものだ。 誰もがそう思うだろう。 しかし彼は余裕を持って出発したと私には見える。 なぜか。 実は政局は、緊迫などはしていないのだ。 市民の消費税増税批判の声は確かに強い。 偏向に満ちた大手新聞の世論調査でさえその事を示している。 しかしそれが政治の場では反映されていないのだ。 増税に反対している政治家たちは国民と一緒になって本気で野田 政権を倒そうとはしていない。 あるのは政局なのだ。 どうすれば民主党分裂を避けるか。 どうすれば消費税増税採決を先延ばしするか。 どうすればショーダウン(最終決戦)を避けて玉虫色の形を整えるか。 どうすればその後の政局の主導権を握れるか。 こればかりである。 そしてそれは取りも直さず権力を握っている側が圧倒的に有利となる。 じわじわと消費税増税やむなしという環境が整えられていく。 けだし大江健三郎がいみじくも喝破したように「曖昧さは常に権力者 に有利である」という事である。 それでは緊迫していない政局の中で、なぜ野田首相は日程を短縮して あわただしく帰国するのか。 それは今度のG20が野田首相にとって活躍の場がないからだ。 日本が貢献できる場面はない。誰も日本のことなど相手にしない。 そんなG20に、何故それでは野田首相は行くのか、という声が聞こえ てきそうだ。 それに答えるのがこのメルマガの趣旨である。 彼にはどうしてもG20に言ってみんなの前で言いたい事があったのだ。 それが「消費税増税を決めてきました」という事である。 おりからギリシャの選挙で緊縮財政派が勝利し、ギリシャのユーロ圏離脱 が阻止された。 そのギリシャとともに、野田首相の消費税増税の決断が欧米の喝采をもっ て迎えられる。 少なくとも日本のメディは一斉にそう報じるだろう。 野田首相のG20出席はそれだけでいいのだ。 それが終われば後は用はないのだ。 G20の凱旋から帰国した野田首相は、ますます消費税増税の「ただしさ」 を国民に吹聴するだろう。 消費税増税反対派の国会議員がその声をだんだんと小さくさせていかざる を得ない状況が作られていく。 もちろんそれに加担するのが大手メディアだ。 消費税反対を唱える議員など国賊ものだ、と。 これは私の勝手な推測ではない。 18日の東京新聞がはっきりと書いていた。 G20で財政再建アピール、増税批判封じ 外圧頼み、と。 これが東京新聞のせめてもの抵抗なのだろう。 果たしてG20に同行したその他の新聞の記者たちは、野田首相のG20 出席の結果をどう報じるだろうか。 私は注視している。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)