□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年5月27日第410号 ■ ============================================================== なぜか報じられない厚木基地米軍訓練問題 ============================================================== 米海軍厚木基地での空母艦載機離発着訓練が問題になっている。 私がこの事を知ったのは3日ほど前のテレビのニュースを通じてで あった。 神奈川県の黒岩知事が騒音に悩む住民の要望受けてみずからその騒音 を体験しそのあまりの酷さに米軍当局に訓練停止を申し入れという ニュースだ。 私が驚いたのは黒岩知事の停止要請に対し、米軍がこれを無視して 訓練を続けたということだ。 さすがの黒岩知事もコケにされて頭にきていた。 あきれ果て、これは日本政府を通じて申し入れるしかないなどと言っ ていた。 まさしくその通りである。 これは日米安保条約とその核心部分である日米地位協定に関する日米 両政府間の問題なのである。 果たしてこの問題は今後どう発展していくのだろうか。 興味深く翌日の新聞報道を探したがどこにも報道がない。 次の日もまたこのことについて何も報じられていなかった。 そう思っていたら5月6日の産経新聞が一段の小さな記事でこう報じ ていた。 田中直紀防衛相は25日午前の記者会見で、米海軍厚木基地(神奈川県) での空母艦載機の離着陸訓練に地元が反発していることを受け、「ルース 駐日大使にこのようなことが起こらないよう強く要請したい」と述べたと。 なんといういいかげんな事か。 とっくに要請していると思ったら、これから「要請したい」というのだ。 なぜ直ちに要請しなかったのか。 地元が反発していなければ要請しないのか。 なによりも田中直紀防衛相が要請することをルース大使は素直に聞く のだろうか。 果たしてルース大使は訓練停止に応じるのか。 元国務省日本部長であるケビン・メア氏だったらいみじくもこう語る だろう。 日本政府は日米同盟を最優先している。 そうであれば日本政府はあらゆる犠牲を払ってでも日米同盟をゆるぎ ないものにしなくてはならない、と。 日米同盟を堅持するためにはそれにともなう日本側負担は当然だと。 日本政府が負担を嫌がるのなら日米同盟重視は口先だけだと。 これもまたその通りである。 果たして田中直紀防衛相はいつ、どのような申し入れをルース大使に 行なうことになるのだろうか。 それに対するルース大使の返答はどのようなものであろうか。 せめてメディアはこの問題の行く末について報道してもらいたい。 米海軍厚木基地の空母艦載機の離発着訓練問題の帰趨から目が 離せない。 了 ─────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)