□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年1月23日第60号 ■ ========================================================= 「金正男独占告白」(文藝春秋)を書いた五味洋治記者に乾杯! ========================================================== 「正真正銘、世界的スクープと言っていいだろう」 これは1月21日の産経新聞の「花田紀凱(かずよし)の週刊誌 ウオッチング」の書き出しの言葉である。 彼はそう言って、週刊文春1月26日号に掲載されていた「金正男 わが宿命の弟よ」の記事を紹介している。 その週刊文春の記事は、実は同じく文藝春秋から今年1月20日に 発刊された「金正男独占告白」の事前宣伝記事なのである。 元週刊文春の編集長などを歴任してきた花田氏の「週刊誌ウオッチ ング」を私は毎週目を通している。 つねに辛口の彼がここまで評価する事は初めてだ。 だから私がこの「金正男独占告白」を買って読んだのではない。 この本の著者が東京新聞の記者である五味洋治氏であることを知った からだ。 ここまで前置きをした上で、以下の引用をさせていただきたい。 いまからほぼ一年ほど前に私がこのメルマガで書いたものである。 引用始め □■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月28日発行 第57号 ■ ============================================================= 金正男氏との単独インタビューを掲載した東京新聞の大スクープ ============================================================== 今日(28日)の新聞で最大の価値のある記事はなんといっても 東京新聞(中日新聞)の金正男氏との単独インタビュー記事である。 近来まれに見る大スクープである。 北朝鮮の金正日総書記の長男である金正男氏(39)が滞在する 中国南部の都市で単独インタビューをしたという。 「正男氏の姿を見かける場所があると聞き、出かけて見た。話し かけると本人と認めた。気さくな雰囲気で、こちらが身分を名乗って も警戒する様子はなかった。じっくり話を聞かせてほしいと頼み、 近くのホテルの喫茶店に入った・・・」 こう語る外信部・五味洋治記者の接触の経緯には驚かされるが、 そのインタビュー記事の率直さにはもっと驚かされた。 (三男への世襲については)中国の毛沢東でさえ世襲はなかった。 社会主義に合わず、父も反対だった。 (韓国砲撃の背景について)交戦地域のイメージを強調し、核保有 や軍事優先政治に正当性を持たせようとしている人(軍の台頭)が いる。延坪島事件のような悲劇が起きないよう(弟には)北南関係を 調整して欲しい。 (日本人拉致問題について)遺憾な問題。今のように議論が平行線 では解決は難しい(日朝間の対話再開が必要)。拉致被害者とは会った ことはないが最近拉致被害者に関する情報管理が厳しくなった。 (2001年5月1日の不法入国についての日本側の処遇)日本 政府はああするしかなかった。むしろ(日本側には)最大限の配慮を してもらった。 (核問題について)北朝鮮の国力は核から生まれており、米国との 対決状況がある限り放棄する可能性は低い。 (弟に対し)北朝鮮が安定し、経済回復を成し遂げ、(国民が) 豊かに暮らせるよう(政策を進めるよう)願う。住民に慕われる指導者 になってほしい。弟に対する私の純粋な願いだ。弟に挑戦するとか批判 する意味ではない。 (デノミについて)失敗だった。中国式経済改革、開放に関心を持つ べきだ。 (自分の置かれている状況について)父や親族とは連絡を取っている (暗殺未遂や亡命説は)根拠のないうわさだ。身の危険を感じた事は ない。 金正男氏が東京新聞に語った事が真実かどうかはもちろんわからない。 しかしこれほどの情報がかつて報じられたことがあっただろうか。 外務省は金正男氏と接触した事があるのだろうか。 もしなかったとすれば驚くべき怠慢だ。 もし接触しながら金正男氏を活用できていないとすれば驚くべき無能 さだ。 東京新聞の大スクープが我々に教えてくれた事はメディアの取材力 如何ではここまでの情報収集ができるということだ。 政府・外務省の北朝鮮外交は一体これまで何をやって来たのか、その あまりの無能ぶりである。 了 引用終わり 五味洋治記者のスクープはこれだけではなかったのだ。 その後も五味氏は金正男氏と面談を重ね、情報交換をしてきたという。 合計7時間のインタビューと150通のメールのやり取りの結晶が この著書に凝縮している。 「正真正銘、世界的スクープ」という意味がそこにある。 そこに書かれている事をここで紹介する必要はないだろう。 これまで語られ、書かれてきた北朝鮮に関する学者、専門家、ジャー ナリストによる北朝鮮評論が、すべて聞いてきたウソのようにかすんで 見える。 あの時、政府、外務官僚が三顧の礼を持って五味洋治氏を迎え入れ、 金正男氏との関係を深め、日本の北朝鮮外交に役立たせるだけの器量が あれば、その後の日本と北朝鮮との関係もまったく異なっていたものに なっていたかもしれない。 さんざん批判された田中真紀子外相の金正男即時退去は、結果的に金 正男氏と日本の関係を深める効果を果たしていたかもしれない。 五味氏は最後にこう語っている。 「経済成長最優先、隣国安定が至上命題の中国にとって、隣国で混乱 が発生することは非常に都合が悪い。その時、『金正男擁立シナリオ』 が現実味を帯びてくる。これは決して荒唐無稽の話ではない。なぜなら 彼は『中国に守られている』からだ・・・中国が持つ最後の北朝鮮圧迫 カードと言えよう・・・」(253頁) 一人のジャーナリストがここまで北朝鮮の権力の中枢と個人的関係を 築きあげ、我が国の対北朝鮮外交の本質に肉薄しているのである。 五味洋治という東京新聞記者に乾杯! 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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