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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

脱北者の人権を放棄した政府・外務省の対中譲歩密約
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年12月9日第871号 ■     ===========================================================     脱北者の人権を放棄した政府・外務省の対中譲歩密約                                                                    ===========================================================  尖閣諸島沖の漁船侵犯問題や東シナ海ガス油田共同開発問題に関する 日本の外交力のなさは、対中強硬の右翼・国粋主義者でなくとも国民の ひとしく共有するところだろう。  ところが日本の対中外交力のなさはこれだけではなかた。  政治亡命者の保護という人権問題にかかわる外交においても政府・ 外務省は中国に対する正しい外交を放棄していたのだ。  12月8日の読売新聞は一面トップで、北朝鮮からの脱北者について これを日本公館が匿うことをしないと文書で誓約させられていた事を スクープした。  さすがに12月9日の各紙(毎日、日経、産経)もこれを後追い記事と して掲載した。  不思議なことにこれだけ大きな問題であるのに朝日はどこにもそれを 報道した記事が見当たらない。  その報道の詳細を読むとさらに驚く。  2002年に瀋陽の日本総領事館に脱北者が逃げ込んだ事件が起き、 その時の日中双方の対応が内外の批判を招いたことがあった。  すなわち中国政府が日本総領事館に入って脱北者をつかまえ日本側がそれ を傍観したという事件だ。  その後も脱北者が続発し日本側が日本公館で保護した脱北者は数十人に 及んでいたという。    脱北者を「不法な越境者」とする中国側はこれを不満とし、脱北者を保護 しないように求め、さらに脱北者を出国させることを認めないなど日本側に 対応を迫ってきたという。  中国側の許可が下りるまで日本側はその脱北者を日本公館の内部で生活 支援をせざるを得ず、これが日本大使館や領事館の負担になっていたという。  おどろきべきことが行われていたのだ。  そして今回の誓約書である。  これによって日本側は脱北者の保護を完全に放棄したことになる。  ちなみにその誓約を交わしたのは今年のはじめというから菅政権の時である。  尖閣諸島沖の中国漁船事件で中国側に譲歩したことに次ぐ更なる譲歩となる。  脱北者が政治亡命者であるか経済難民であるか判断の難しいところはある。  しかし中国は脱北者を北朝鮮に強制送還しており、この誓約が事実なら脱北者 の人権は保証されないことになる。  日本政府は自民党政権下の06年に北朝鮮人権法を制定し、脱北者問題を 「(北朝鮮による)人権侵害問題」と位置づけ、「保護、支援に関し、施策を 講じる」と規定した。  この国内法を中国の圧力に負けて捻じ曲げた事にもなる。  単に中国との関係で外交的に譲歩しただけでなく国際法に認められた政治 亡命者の人権擁護義務に違反する疑義も出てくる。  この誓約書の発出が事実なら外交放棄だ。  問題は、このような重大な外交放棄が日本国民の知らないところで行われて いたということだ。  問題は、玄葉外務大臣が8日の参院外交・防衛委員会でそのような誓約書を 出したことは絶対にないと読売新聞の報道を否定した一方で、藤村官房長官が 同じ8日の記者会見で「誓約書の事実関係については明らかにすることは差し 控える」と述べたことだ。  事実関係が不明なままであるということである。  それにもかかわらず9日の毎日、日経、産経が誓約書の存在があきらかになった と後追い報道を繰り返した事である。  この問題は国会で追及されなければならないのに国会は閉じられてしまった。  メディアは真相を国民に明らかにする責任がある。                           了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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