□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年12月8日第868号 ■ =========================================================== TPP交渉参加を支持する桜井よしこの思考のねじれ =========================================================== 昨今のねじれ現象はなにも国会の政党・政治家のねじれだけではない。 さまざまな言論人が、さまざまなテーマについて、単なる右翼、左翼で 割り切ることのできない思考のねじれ現象を呈している。 その典型がきょう発売の週刊新潮12月15日号に掲載されている桜井 よしこ氏のTPP賛成論である。 私はきょうのメルマガ第867号で、野田首相の早稲田大学講演につい て書いたばかりだ。 すなわちTPPに反対する者は米国陰謀説を唱える愚かな者たちだと 一蹴する野田首相の暴言に反論した。 ところが野田民主党政権を中国に媚を売る左翼政権だと徹底的に批判 する右翼の桜井氏が、TPPについては野田首相とまったく言い方で賛成 している。 すなわちTPP反対論で目立つのは「TPPは米国の陰謀」であるとし、 米国が日本の市場を奪おうとしていると単純化するのは間違いだと言う。 そして交渉とはまさに勝ち取っていくものであって、だからこそ交渉の 場で国益を守るためのルールを提案することが大事だ、という。 最初から着地点を危惧する敗北主義はありえない、というわけだ。 これもまた野田首相が繰り返し主張してきたことだ。 しかし彼女はTPPに関しては素人だ。誰かの受け売りだ。だから すぐ理論破綻する。 彼女は言う。 多国間交渉の長所はひとつの強国の専横が通用しないということ だ、と。 その通りだ。 だからこそ米国は多国間貿易交渉の総元締めであるWTOを見限って ブロック経済主義に走るのだ。 自分の意見を押し付けられる弱小国や対米従属国家との地域主義に走る のだ。 それがTPPなのである。 彼女は言う。 日本の貿易シェアや低関税率を引用し、日本がTPPに参加しても不利 にになることはない、と。 しかし彼女は見落としている。 もはやTPPは単なる貿易障壁の撤廃問題ではない。 日本市場をあらゆる分野で米国に開放する要求なのである。 笑ってしまうのは訴訟条項(ISD)に関する次のくだりである。 すなわち訴訟条項は理不尽な外国企業を狙い撃ちした条項であり、それが 発動される場合はその企業がよほど恣意的、または差別的な不当を働いた時 に限定されると。 そしてそんな理不尽な経済行為をするのは中国ぐらいだから、訴訟条項は、 むしろ将来中国がTPPに入ってきた時には、中国の理不尽な政策や措置 から日本を守る役割を果たすもので、日本にとって歓迎すべき条項である という。 見事な落ちだ。 結局桜井氏の論理はすべて中国警戒論に行き着く。 中国をけん制するものならば、桜井氏にとっては何でも歓迎ということだ。 ねじれにように見えて実hは首尾一貫しているというべきか。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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