□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年12月7日第863号 ■ =========================================================== 中国までも懐疑的になってきた野田首相の政治生命 =========================================================== きょうのトップニュースは何と言っても野田首相の訪中の直前に なっての中止である。 予定では12月12、13日からの訪中となっていた。 その準備のために玄葉外相が特別機まで飛ばして訪中していた。 対米従属一辺倒とさんざん批判されている野田首相にとっても絶好 の対中重視外交の舞台になるはずだった。 事実、野田首相にとっては就任後初の中国訪問であり、張り切って いたはずだ。 そのためにはやばやと国会を閉じるのではなかったのか。 その訪中が文字通り直前になって延期されたのだ。 これは平時の外交ではありえないことだ。 さぞかし外務省は腰を抜かしているに違いない。 野田総理は衝撃を受けているに違いない。 一体何があったのか。 当然のことながらこの突然の訪中延期については各紙が一斉に報じて いる。 ところがその報道が奇妙に抑えたものだ。 そればかりではない。報じられている訪中延期の理由がいずれもまる で説得力がない。 12月13日は旧日本軍の「南京占領」から74年にあたる日で反日 感情が警戒されるという。しかしそんなことは百も承知で日程調整して いたはずだ。 中国側は「内政上の理由」で日程の再調整を求めてきたという。しかし 直前になって日程調整をせざるを得ない内政上の理由とはいったい何だ というのか。 各紙はそれを「年に一度の経済運営を話し合う中国経済工作会議の日程 がずれ込む公算がでてきた」からだと書いている。それほど野田総理の 訪中は軽いのか。 もっと解せないのは、これは一方的な中国側の訪問延期通告ではなく、 日中双方の都合による延期だといわんばかりの報道ぶりである。 すなわち中国側はいまでも野田首相の年内訪中実現へ向けて再調整したい と言っているが、野田首相の日程上、年内の都合はつかないと、あたかも 日本側の都合で訪中できない、と言わんばかりである。 これは嘘だ。 訪中が出来るのなら野田首相はすべてを優先して訪中するはずだ。 丹羽大使や外務官僚の仕事はそれしかないはずだ。 要するに中国側が野田首相の訪中は必要ないと言ってきたのだ。 面子を失った日本側が、頭にきて、野田首相にも訪中より優先する日程 はある、国内の政治日程や、すでに決まっているインド訪問がある、中国 側の理由だけで訪中ができなくなったのではない、と日本国民に向けて アピールしているのだ。 それにしてもなぜ中国側は直前になって外交的に異例で非礼な訪中 キャンセルを通報してきたのか。 私は、国会閉会後の日本の政局が流動的になってくるに違いない、様子を 見てみたい、という中国側の意図があると思う。 ありていに言えば野田政権は大丈夫か、ということである。 野田首相の政治生命に中国が懐疑的になってきたということだ。 日本のメディアが書くべきはまさにそのことである。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)