□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年12月7日第862号 ■ =========================================================== またひとつTPP参加問題の問題点が見つかった =========================================================== サンデー毎日12月18日号に「TPP交渉 オバマ大統領に立ち はだかるバカ高い壁」と題して重要な情報が書かれていた。 金融ジャーナリストの森岡英樹という人が書いている。 すなわち、オバマ大統領には外国との貿易交渉を決める権限はない。 すべては米国議会の承認がいる。だから米国との交渉はますます日本 にとって厳しいものにならざるを得ない、と。 これは非常に重要なポイントだ。TPPをめぐるこれまでのどの 報道も指摘していなかった事だ。 それをもう少し詳しく書いてみる。 かつては「ファスト・トラック」と呼ばれた大統領の一括貿易交渉 権は別名トレード・プロモーション・オーソリテーと呼ばれ、米国 議会から大統領に与えられるものである。 この権限は1974年にフォード大統領が初めて手にして以降、 歴代の大統領に認められてきたという。 そういえば日米貿易摩擦が厳しかった1980年代のころ、この 言葉がメディアに飛び交っていた事を思い出す読者もおられるだろう。 この権限があったから米国は日本に強く迫ってきた。その米国と 合意をした時点ですべてが決まった。 ところがこの権限は2007年に失効して以来、大統領が手にする ことが出来ないままであるという。 つまり2009年1月に誕生したオバマ大統領は当初よりこの権限 を持っていなかったのだ。 これは知らなかった。どのメディアも書いてこなかった。 オバマ大統領は日本と合意したTPPに関する内容についてひとつ ひとつ米国議会の承認を得なければならないことになる。 だからどうしても「議会承認が受けやすいよう米国は自国に有利な 条件を事前にねじ込んでくる可能性が高い」(民主党議員)。 しかも、仮に日米間で合意しても、その合意内容をオバマ大統領が 議会に諮って否決されればすべては振り出しに戻る。 米韓FTAもその内容をめぐって4年以上もの長期間にわたり交渉が 難航したのもこの理由によるという。 このような視点はこれまでどの新聞もテレビも、いやどの政治家、 評論家も言及してこなかった。 このような米国側の事情を知ってか知らずか、TPP交渉参加の是非 をめぐって国内議論が繰り返されている。これは一人相撲だ。 TPP交渉の相手はあくまでも米国米国である。 その米国とのTPP交渉は容易ではない。 野田政権や官僚などに日本の国益が守られるはずはないのである。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)