□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年5月1日発行 第311号 ■ =============================================================== 五百旗頭議長の記者会見に鼻白んだ外国人記者たち =============================================================== 私は4月17日のメルマガ第276号で、「一日で終わった復興 構想会議」と書いた。 その理由は、この会議には何の権限も与えられていないは事が わかったからだ。これでは意見の言い合いで終わる。官僚がすべてを 取り仕切る事になる。いつもの諮問会議、懇談会だ。その事が初会合 で見事に露呈したからだ。 そのメルマガを書いてから二週間あまりがたって、復興構想会議の 迷走はもはや明らかだ。はやくも熱意が冷め、皆が離れて行った。 それを見事に象徴する記事を4月28日の日刊ゲンダイに見つけた。 すなわちその記事は4月26日に開かれた五百旗頭議長と飯尾潤検討 部会長による外国人記者クラブでの会見模様を次のように報じていた。 「・・・あまりの大ブロシキに外国人記者はドッチラケだった・・・ 何だか、歴史の主役気取り。あまりの仰々しさと自己陶酔に外国人記者 からは失笑がもれ、途中で席を立つ人もいた。復興でハシャぐ人物は 信用できない・・・」 これを私は、さもありなん、という思いで読んだ。 ところが5月1日の毎日新聞を読んで驚いた。 五百旗頭議長は毎日新聞の連載論評である「時代の風」の冒頭で こう自慢げに書いているのだ。 「先週の火曜日、有楽町の外国人特派員協会に招かれた・・・検討 部会長の飯尾潤教授と並んでスピーチを行い、質問を受けた。会場は あふれんばかりであり、質疑に入ると、答えても答えても挙がる手の 数は減らなかった。大震災と復興への国際的関心の厚さを肌で感じた」 日刊ゲンダイの書きぶりとの違いがあまりにも大きい。どちらが 正しいのか。もちろん私は日刊ゲンダイを信じる。五百旗頭氏は嘘を ついているに違いない。 そう思って読み進んでいくと何のことはない。外国人記者からは 「果たして日本の復興を期待できるのかといった懐疑的なものもあった」 と認めたうえで、五百旗頭氏はその後最後まで自らの歴史観をとうとう と「時代の風」の中で述べているのだ。 つまり外国人記者クラブで皆が鼻白んだスピーチを「時代の風」で 繰り返したのだ。 五百旗頭氏は嘘をついているのではない。日刊ゲンダイの記事が 正しかったというだけのことである。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)