□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月23日発行 第132号 ■ ================================================================== イラン軍艦がスエズ運河を通過した衝撃 ================================================================== ついにイラン軍艦のスエズ運河通過が現実のものとなった。 エジプトの政変がもたらした最初の大きな変化である。 ムバラク大統領なき後のエジプトがスエズ運河をイランに開放する。 こういう報道が流されてから、いつまでたってもイランの船舶が スエズ運河を通過したという確認ができなかった。 イスラエルがそれを許さない。イランが通過を強行すればイスラエル は攻撃するだろう。そういう噂も流された。 あながち有り得ない事ではない。 だからイランも通過をためらっているのではないか。 そう私は思っていた。 ところが2月23日の各紙はついに22日早朝イランの船がスエズ運河 を通過したというニュースを流した。 しかも2隻の軍艦が通過したという。 2隻の軍艦はイスラエル沖を通ってシリアに向かう見通しであるという。 ムバラク政権下では考えられなかった事だ。 イランがイスラエルを敵視するレバノンの抵抗組織ヒズボラやシリアを 支援してきた事は周知の事実である。 幾度となくイスラエルとヒズボラやシリアの間で砲撃が繰り返され ても来た。 イランとイスラエルの代理戦争だ。 イラン革命の79年以来、エジプトはイランのスエズ運河通過を認めて こなかった。 そのためイランは陸路でシリアやレバノンに支援物資を輸送せざるを えなかった。 スエズ運河が通過可能となった今、支援量は飛躍的に拡大する。 こんな事をよくイスラエルは了承したものだ。 いや、イスラエルは決して了承はしていない。 エジプト暫定新政権の決定を抑えようがなかったのだ。 現にタカ派のリーベルマン外相は「挑発行為だ」と非難して警戒を 強め(2月23日東京)、シャローム首相代理は「イランへの経済制裁 を強化すべきだ」と反発している(2月23日日経)。 ネタニエフ首相に至っては、イラン艦艇の運河通行に備え国土防衛を 強化する方針を示したという(2月23日産経)。 果たしてイランのスエズ運河航行がこのまま既成事実化するのか。 それともイスラエルの事である。密かに反撃の機をうかがっている のだろうか。 イランの艦船がスエズ運河を通過して地中海に抜けるには12-14 時間かかるという。 何かが起きるには十分な時間だ。 また中東にあらたな危機の火種があらわれようとしている。 イラン艦船のスエズ運河航行再開はエジプト革命がもたらした 最初で最大の変化である。 当分の間、目が離せない。 了

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