■□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2009年11月24日発行 第464号 ■ ────────────────────────────── イラク戦争の検証作業に関する日英両政府の対応の、そのあまりの違い ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 11月24日の東京新聞のスクープに私は注目した。 スクープと言っても、その出自は22日付の英紙サンデー・テレグラフ紙であるから、公開情報を 紹介したに過ぎないのだが、ニュースの重要性に着目したという点でのスクープである。 それは英国において24日から始まる「イラク戦争独立調査委員会」の公開証人喚問を前に、サンデー・ テレグラフ紙が、極秘の内部調査文書を暴露した、という記事である。 その記事によれば、 イラク開戦を半年以上も前に決断して戦争準備をしていたにもかかわらずブレア首相はそれを国民に 否定し、嘘をついていたこと、 開戦決意を軍隊にまで知らせなかった為作戦に不都合と犠牲が生じていたこと、 そして何よりも、イラク戦争後の復興策がほとんど作られていなかったこと、 などという唖然とした実態が、その内部文書には明らかにされているという。 この「イラク戦争独立調査委員会」は英国世論の声に駆り立てられて今年の6月にブラウン首相の手で つくられた、英国における本格的なイラク戦争検証委員会である。 英国においては、かつてブレア首相時の時に作られた独立調査委員会(いわゆるバトラー委員会)が、 04年7月に、イラク攻撃の根拠とされた大量破壊兵器の存在に関する情報が不確かであった事を認めた 報告書を出している。 しかしその時はブレア政権下での検証であり、その対象ももっぱら大量破壊兵器の有無に関する検証に 絞られていたこともあり不十分なものであった。 今回の検証作業は、それをさらに発展させ、検証結果によってはブレア首相の責任追及に及びかねない 包括的な検証作業となる可能性がある。 ちなみに先日選出されたEU大統領について、当初ブレア前首相が本命視された時期もあったが、イラク戦争 の責任問題による反発がそれを阻んだと一部報道されたりしていた。 イラク戦争の責任問題は、いまでも欧米ではそれほど大きな問題なのである。 それに故に、英国の検証作業は設立された6月以降これまで非公開で進められてきた。 それが、11月24日から始まる公開証人喚問で、初めてその一部が公開される事になる。 25日以降、英国ではこの問題がメディアをにぎわし、そしてそれが国際ニュースとなって日本のメディアも 一時的にせよ飛びつくことになる。 それを見越しての東京新聞のスクープである。 それにしても、である。 ブッシュ大統領のプードルだかポチだか知らないが、同様に徹底した対米従属ぶりを見せた首相をいただく日本 において、政権交代が起きてもなおイラク戦争の検証作業について、民主党政権内部の動きがまったく出てこない。 それをメディアも世論も問題としない。 この日本と英国の彼我の違いぶりを我々はどう受け止めればいいのか。 移り気のはやい日本のメディアはもうすっかりイラク戦争の事やサマワの事など忘れ、事業仕分けやアフガン、 普天間のことばかり報じている。 しかし、すべては6年前のイラク戦争から始まったのだ。 日本外交の混迷も、政権交代も、元をただせば小泉元首相の無条件の対米従属外交から始まったのだ。 その検証が日本の政治で行われないまま歴史の忘却に埋没されるような事になれば、後世の国民に非難されても しかたない歴史的怠慢であり大失策でとなる。 ちなみに04年にバトラー委員会に対してブレア首相を誤りを告発して辞職した英国の独立外交官カーン・ロスは、 今年7月の私との対談の中で、今行われているブラウン首相の手による独立調査委員会について、それがすべて公開 されればブレア首相に決定的なダメージを与えるだろう、しかしおそらくそこまでの公開はなされないであろうと、 私に語っていた。 この貴重な証言に興味を示すメディアはいまだ現れていない。 __________________________________________ 天木直人のメールマガジン 2009年11月24日発行 第464号

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