■□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ 天木直人のメールマガジン 2009年7月11日発行 第257号 □■ ──────────────────────────────── ■ 外交担当政府代表ーこの偉大なる無用ポスト ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ これから書く事は私にしか書けないことである。普通の読者なら見過ごすことである。 7月11日の新聞の人事欄に、前駐仏大使の飯村豊氏が欧州・中東担当の政府代表に任命されるという小さな 記事があった。 実はこの人事はすでに2月8日の時点で毎日新聞だけがスクープ報道していた。それを私は注目していた。 私の手元にあるその記事の切り抜きを振り返ってみるとこうだ。 「外務省は、飯村豊フランス大使を中東問題担当の政府代表に起用する方向で調整に入った。政府代表は麻生太郎 首相の意向で起用された谷内正太郎前外務事務次官のほか日朝国交正常化や在沖縄米軍問題など担当別に4人いる・・・」 飯村豊氏も谷内正太郎氏もかつての私の同期である。同期についての批判めいた事は書きたくない。しのびないからだ。 負け犬の遠吠えと受け取られるのがオチだからだ。 しかしその思いを克服してこれを書いている。国民にはどうしてもわかってもらいたい、ただその気持ちだけで書いている。 この報道から5か月も発令が遅れたのは、前任者である外務省先輩OB有馬龍夫氏との引継ぎをめぐるもたつきがあった のだろう。 それに、中東だけでは仕事にならないと見えて欧州をつけ足す小細工までしての発令である。 しかしどのような背景があるにせよ、この政府代表というポストは、国民にとって不要、無駄遣いポストである。 その一方で外務省にとっては絶対手放せない、数少ない優雅な天下りポストである。 外交と言えば国民には縁遠い特殊な世界だと思われがちだ。それをいいことに外務省はこの無用なポストを仲間内で タライ回ししてきた。 日本には米国などの国と違って国会等の第三者機関で要人人事の適否を審議するというチェック機能がない。官僚が その人事を独占して決めている。 必要な仕事をするポストであればいい。そこに任命される人物が適材であればまだ許される。しかし現実はそのいずれ でもない。 有馬代表も飯村代表も、およそその外務官僚としてのキャリアの中で、中東問題に携わったことのない人物だ。対米従属 外交に腐心して出世した外務官僚だ。 ただでさえ中東問題における日本の役割は限られているというのに、これでは、誤った米国の中東外交を後押しするため の人事である。 有馬政府代表が初めて中東を歴訪し、レバノンを訪れた時、私はレバノン大使であった。その時有馬代表が私に言った 最初の言葉は、「何をしゃべればいいんだ」という言葉であった。レバノン大統領との会談を前にしてのことである。 政府代表がただの無用なだけであればまだ許せる。しかしそれが日本外交の足を引っ張っているとしたらどうか。 今回のサミットは麻生外交にとって成果がなかったとさんざん報道されている。 その中でも、麻生首相にとってもっとも悔しかったのは北方領土問題についてのロシアの強硬姿勢であっただろう。 しかしこのロシアの強硬姿勢の原因は日本にある。日露首脳会議の直前になって日本がにわかに態度を硬化させ、 北方4島は日本の固有の領土だと主張する法律を成立させたからだ。 国会がこのような法律を成立させた理由は、日本のナショナリズムの高まりであった。 そして、そのナショナリズムを高めさせたのが谷内正太郎政府代表の「3・5島返還でもよい」発言だった。 要するに政府代表の軽率な一言が、サミットにおける日ロ首脳会談に水をかける事になったのだ。 麻生首相にとってはみずから抜擢した人物にかみつかれたようなものなのだ。 それにもかかわらず政府代表の責任は一切問われることはない。誰もそのことに言及しない。 外交担当政府代表とは、偉大で、無用ポストであり、時として大失態をおかしても責任を問われない、まことに 優雅なポストなのである。 ───── 天木直人のメールマガジン 2009年7月11日発行 257号 7月25日予定の盛岡懇親会の場所を予約して頂いている読者の方、このメルマガをご覧になられたら、私へ至急連絡 をお願いします。準備状況を確認させて下さい。

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