■□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ 天木直人のメールマガジン 2009年6月14日発行 第223号 □■ ──────────────────────────────── ■ 日本は北朝鮮と直接交渉せよ、と言い出した田原総一朗 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 6月13日の朝日新聞に、ほぼ一面全部を費やした田原総一朗の寄稿文が 掲載されていた。 これは異様だ。おそらく朝日新聞と田原総一朗の合作であろう。そこには 明確なある意図が隠されていると思う。 その寄稿文の言わんとしているところは、今こそ日本は北朝鮮と直接交渉 すべきである、という一点につきる。その論旨を要約すれば次の通りである。 「・・・北朝鮮の核は、米国や中国、ロシアにとっては現実には脅威では ないが、日本にとっては深刻な脅威である。 その一方で北朝鮮の経済復興のために日本が国交正常化と同時に提供する 1兆円の金は北朝鮮にとってのどから手が出るほど欲しい。 つまりお互いが直接交渉を必要としているのだ。 実際のところ首相が二度も平壌に飛んで金正日と長時間会談した国は日本の ほかに例はない。 その日本が、なぜ北朝鮮との交渉を米国や中国に任せているのか。なぜ外交 の麻生首相は、手をこまねいているのか。 それはズバリ世論をおそれるあまり外務省が臆病になってしまったからである。 すなわち小泉首相の訪朝は訪朝団の思惑から外れて裏目に出た。小泉訪朝の シナリオは、金正日の謝罪と拉致被害者の一部帰国、そしてその他の被害者の 情報提供を得ることと引き換えに日朝国交正常化を実現することだった。 一兆円の援助をお土産にして。 小泉訪朝団はそれでうまく行くと思っていた。ところが世論の反発は予想以上 に厳しいものであった。それにおされてシナリオから逸脱した。北朝鮮との約束 を破った。 それからというもの外務省はどうすれば日本国民が納得するかが読めきれず、 一切のリスクをとることを避けるようになった。 拉致問題で動きがとれないでいるうちに、北朝鮮の核問題が焦眉の急となって 浮上した。 いま日本は北朝鮮外交において動きが取れない。米中の影で蚊帳の外である。 もし世論をおそれて本格的な北朝鮮外交をしないなら、拉致被害者家族に対して あまりにも無責任ではないか。それよりも何よりも眼下に繰り広げられている 北朝鮮の核問題で、日本は何もできずに国益を損ねようとしている。 麻生首相はこれからでも米国と中国に飛んでオバマ大統領、胡錦涛主席と会い、 北朝鮮の本音を聞き出すべきだ。そして平壌に飛んで金正日総書記と直談判 すべきである・・・」 驚いた。これは私が一貫して言い続けてきたことである。今まで田原氏が 決して口にしなかったことである。 なぜ今になって田原総一朗氏は突然このような事を言い出したのか。朝日 新聞はそれを大きく取り上げたのか。 鍵は田原総一朗氏の次の言葉にある。 ・・・5月19日、中曽根弘文外相が記者会見で、「外務省は安否不明の 拉致被害者はすべて生存しているとの立場、前提に立っている」と表明した。 この言葉を条件にするかぎり、北朝鮮が交渉を受け入れるはずはない・・・ つまりこれが言いたかったのだ。 周知のとおり田原氏は安否不明の拉致被害者は死んでいると公言して外務省 や拉致被害者家族から反発を受けた。そしてそれに対して謝罪までしている。 しかし謝罪の言葉の中には拉致被害者は死んでいると言った自らの発言を 撤回するという言葉はない。 それどころか今度の寄稿文においても、上記のごとく、拉致被害者の生存を 前提にする限り北朝鮮との交渉は出来ない、とまで言っているのだ。 田原氏は政府・外務省にかわって世論を見極めようとしているのではないか。 そのためのアドバルーンをあげているのではないか。なし崩し的に拉致被害者は 死んでいる、というあきらめを、世論や拉致被害者家族の意識の中に植えつけ ようとしているのではないか。それに朝日新聞が加担しているのではないか。 そう考えると奇妙にガテンがいく。 ──────────────── 天木直人のメールマガジン 2009年6月14日発行 第223号 発行者:天木直人 著者ブログ: http://www.amakiblog.com/ 読者の皆様からのメールをお待ちしております。

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