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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

「天木直人メルマガ」 第188号 またしても外務省に衝撃が走った
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□■□■  【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■  天木直人のメールマガジン 2009年5月17日発行 第188号 □■   ────────────────────────────────── ■               またしても外務省に衝撃が走った  このところ、と言ってももはや日常茶飯事のごとくであるが、外務省の失態 が目につく。  今日のメルマガのテーマも外務省の大失態が明るみに出たことについて書く。 さぞかし外務省に衝撃が走っていることだろう。  5月14日の朝日新聞が一面で大きく外務省のスキャンダルを報じた。  それは国家機密漏洩容疑で実刑判決を受けた中国人の裁判判決文の中で、 日本の宮本雄二中国大使が、秘密情報提供と見返りに300万円の金銭を渡して いた事があきらかになった、というニュースである。  読者のみなさんは、2001年はじめから大騒ぎになった外務省の機密費 横領事件をご記憶だろう。  外務省の会計担当職員が何億円単位の機密費を、競馬やマンション購入など に流用していた事件である。  それがきっかけでの機密費の使い方に世論の注目が集まった。高給ワインを 購入したり、およそ外交とは無関係な飲食費や遊興費に使われている実態が 次々と指摘されたりした。  しかし、それでは機密費とは本来何に使われるのか、という事については、 ほとんど取り上げられることはなかった。それこそが機密だったのだ。  実は機密費の本来の使われ方こそまさしく機密情報の入手なのである。  そしてこの機密情報入手活動は、どこの国でも、それぞれの国のやり方で 行っている。もちろん秘密情報を金銭で買うこともある。  しかしこれはあくまでも外交の世界の暗黙の了解であり、決して公式に 認められるものではない。  それが表に出てしまったのだ。そのことこそ外務省の大失態であり、外務 官僚の劣化、弛緩なのである。  外交官は情報収集先については細心の注意を払う。もちろん注意の第一は 情報の確かさだ。ガセネタをつかまされていては話にならない。  情報の確かさの点からいえば、政府要人から情報を入手するのが一番である。 しかし、政府要人が外国の政府関係者に情報提供をするとなると、どこの国でも 国家機密漏洩罪で大問題になる。  そこで、多くの場合情報提供者は、政府内情に通じたジャーナリストや学者、 あるいはコンサルタントを通じて得る。コンサルタントには政府高官OBも多い。  要するにフィルターをかけて間接的に確実性の高い政府情報を入手するのだ。  しかし中国のような共産主義の国では情報は政府に独占されている。すべての 情報機関が政府直属機関となっている。  だから共産主義の国における情報収集活動は困難であり、国家機密漏洩の問題 が起きないように一層の細心注意を払わねばならないのだ。  機密情報活動に外交官が関与していることがばれると二国間の重大な外交問題 になり、その外交官が国外追放になったり、本国召還になったりする例を我々は 歴史の中で見てきた。  しかし、それはこよなく二国間の外交関係で決まる。現在の日中関係は今度の 機密情報事件によって関係が悪化するには重要すぎる。  おそらく中国政府はそのような強硬姿勢にはでないであろう。だからこの事件 はこれ以上広がらない。  日本のメディアも、事の重大性からこれ以上騒がないだろう。日本政府も 騒がないようにメディアに自粛を要請しているに違いない。 しかし、そのことは、同時に日本政府、外務省は、中国に大きな借りを作ったと いうことだ。このことこそ大きな外交失態なのである。  最後に本件に関する日本の報道振りについて一言感想を書いてみたい。  この事件を最初に報道したのは冒頭の5月14日の朝日新聞である。あたかも スクープのごとく大きく報道していた。  その記事の書き方としては、今月5日に出された裁判の判決文で明らかに なったとしている。そして、中国では国家機密にかかわる裁判の判決文は 非公開だが朝日が関係者から取材して知った、ともったいぶって書いていた。  ところが、5月15日の読売新聞は、すでに8日付の豪オーストラリアン紙が このことを報じていたことを教えてくれている。  何のことはない。朝日のスクープはすでに一週間も前に外国紙によって詳細に 公開されていたのだ。  日本にとって重要なこのニュースが一週間も遅れて報道された背景に何が あるのか。  単に日本のメディアの怠慢によるものなのか。それとも日本政府と結託して 外務省の失態を隠そうとしたが隠し切れなくて書いたのか。  そのあたりも本件報道の興味深い視点である。           ─────────  天木直人のメールマガジン 2009年5月17日発行 第188号  発行者:天木直人  著者ブログ: http://www.amakiblog.com/  

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