□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ 天木直人のメールマガジン 2009年5月7日発行 第176号 □■ ────────────────────────────────── ■ あらためて問う。イラク戦争は本当に終わったのか。 ブッシュ大統領の退場とオバマ大統領の誕生によって、あのイラク戦争も また人々の記憶から消えてしまったかのようだ。 しかしあらためて問う。本当にイラク戦争は終わったのか、と。 政治家が、官僚が、御用学者が、そしてメディアの論評が、どのような意見 を並べようとも、現実を覆い隠す事は出来ない。 5月3日の読売新聞は、回復しつつあったイラクの治安情勢が4月になって 急激に悪化し始めたと報じている。オバマ大統領の米軍撤退計画にも影響を 与えざるを得ないだろう。 そのオバマ大統領は、ブッシュ大統領のイラク戦争は誤りだったと言い続け て大統領選挙に勝った。 しかし、オバマ大統領のいう「イラク戦争は誤りだ」という意味は、 「米国の脅威ではなかったサダム・フセインのイラクを攻撃したのが 間違いだった」、と言っているに過ぎない。 本当の脅威であるテロの壊滅をおろそかにした事が間違いだった、と 言っているのだ。 だからこそオバマ大統領は、今度こそテロを根絶するためにアフガン、 パキスタンへの戦いを強化すると宣言した。そしてその負担を、日本に も分担して欲しいのだ。 ブッシュ大統領の無茶な要求にも見事に応えた日本だ。オバマ大統領の要請 に応えないわけにはいかない。 現実を直視できない日本は、アフガンを本拠地とするテロとの戦いに協力し、 パキスタン政府をテロ支援国家としない為に巨額の経済支援を分担しようと している。 対米従属しか念頭にない麻生首相や外務官僚たちはアフガン、パキスタンの 現状をどこまで知っているのか。 毎日新聞は5月5日と6日の二回に分けて、「剣が峰のアフガン」という 特集記事を組んでいた。 そこに書かれていたのは、米軍がアフガンへ乗り込んでいけば間違いなく 情勢は悪化するという見通しである。 ひるがえってパキスタンはどうか。奇しくも5月6日の朝日新聞と読売新聞が、 おなじような記事を大きく掲載していた。 すなわち朝日新聞は、「和平崩壊 全面衝突も」と書き、読売新聞は、 「和平崩壊 決定的」と書いていた。 弱体で、腐敗まみれのパキスタンのザルダリ政権に、イスラム原理主義勢力 のタリバーンが反撃して、情勢が一気に悪化しつつあるという。 パキスタン政権を支援する為に米軍が介入していったらどうなるか。 反米感情が最も強い国がパキスタンだ。パキスタンは間違いなくテロを支援 する国家となるだろう。 オバマ大統領は「テロとの戦い」の終結宣言をすべきだ。 さもなければオバマ大統領の米国は、イラクから抜け出せず、アフガン、 パキスタンの泥沼の戦いのはまり込んで行く。 なによりも「テロとの戦い」の原因であるパレスチナ和平は絶望的だ。 そのパレスチナを支援するイランの核開発問題は、イスラエルのイラン攻撃 を常に誘発する危険性を孕んでいる。 オバマ大統領は、金融危機についてはドルの乱発やルール変更で誤魔化す ことができるかもしれない。 しかし、テロとの戦いはそうはいかない。正義がないからだ。 イラク戦争は決して終わってはいない。 米国の誤りの本当の意味をオバマ大統領が気づく時まで、イラク戦争は続く に違いない。無辜ん市民の犠牲が繰り返される。 それでいいはずはない。 ───────── 天木直人のメールマガジン 2009年5月7日発行 第176号 発行者:天木直人 著者ブログ: http://www.amakiblog.com/ 読者の皆様からのメールをお待ちしております。このメールマガジンに返信 していただければ、著者まで届きます。

新しいコメントを追加