□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ 天木直人のメールマガジン 2009年4月24日発行 第160号 □■ ────────────────────────────────── ■ 二枚舌を使った大前研一 私は2月20日のメールマガジン第64号で、大前研一の近著「さらば アメリカ」(小学館)で、彼がオバマ大統領に、いまこそ日本を見習って 憲法9条のアメリカ版をつくれ、と提唱している事を紹介した。 彼のような親米、資本主義の象徴のような人間が、ついに平和憲法の重要性 に気づきはじめた、とこれを歓迎した。 ところが、その大前研一が、今発売中の5月13日号SAPIO誌上で、 堂々と改憲、自主防衛を訴えているのだ。驚くべき二枚舌である。 彼は「最強国家ニッポンの設計図」という連載の最終回として 「大前国防論」を展開している。その中で、今こそ日本はタブーなき 「憲法改正」論議に踏み込み、真の独立国家を目指すべきである、 と言っている。 去勢国家から脱却するため、核、空母、爆撃機、そして国民皆兵を 議論すべきだ、とまで言っている。 私は見事にだまされたのだろうか。 そう思ってもう一度、大前研一著「さらばアメリカ」を読み返してみた。 私は間違っていない。確かに次のように書いてある。 「・・・私はこの文章(憲法9条)をそのままアメリカに献上したい。 日本の戦後の繁栄もこのおかげであったし、本書でも述べたように、アメリカ のつまずきはまさにこの文章に反することをいとも簡単に、しかも不必要に 多用したことに尽きる。これは人類の尊厳に対する蹂躙であり、リーダーたる 者の資格を疑わせるものである。核兵器は結局、相互抑止力となって使えない ものとなったし、あまりにも強い通常兵器は、その使用自体が人類社会に 対する挑戦である。 もしアメリカが世界平和を希求するなら、みずから進んでその破壊力を 共同管理の下に提供すべきであり、その他の国もそれに従う べきである・・・」(268ページ) 間違いなく、そう書かれている。今年の2月11日に第一刷発行の 書き下ろしの書である。 私がだまされたのではない。大前研一がまったく正反対の事を、わずか 2ヶ月後に書いているのだ。 彼に好意的に解釈すれば、SAPIOの記事は連載記事であり、ひょっと したら、この原稿はオバマ政権ができる前に書き終えていたものかもしれない。 その後オバマ大統領が誕生し、ブッシュ政権からチェンジするためには 平和外交に切り替えるしか米国の再生はない、と大前研一は思い始めたのかも しれない。だから「さらばアメリカ」で述べられている彼の考えが最新の考え かもしれない。 それにしても大前研一は読者に説明する責任がある。わずか2ヶ月の間に、 彼は読者に二つのまったく異なる見解を述べたのだ。お金を払って彼の意見に 耳を傾けた多数の読者に誠実に対応しなければならない。 さもなければ、彼が今後どのように偉そうなことを書いたところで、 「二枚舌の大前研一」の一言で一蹴されてしまうだろう。少なくとも 私はもはや大前研一を信じることはできない。 ───────── 天木直人のメールマガジン 2009年4月24日発行 第160号 発行者:天木直人 著者ブログ: http://www.amakiblog.com/ 読者の皆様からのメールをお待ちしております。このメールマガジンに返信 していただければ、著者まで届きます。 読者へのお知らせ 私は4月24日の深夜から25日の早朝にかけてのテレビ朝日「朝まで 生テレビ」と、4月26日(日)午後の大阪読売テレビ やしきたかじんの 「そこまで言って委員会」に 出演します。

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