□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ 天木直人のメールマガジン 2009年4月20日発行 第153号 □■ ────────────────────────────────── ■ 政治の軸にならない貧困問題 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 東京新聞に時々掲載されるロナルド・ドーア氏の「時代を読む」という 論評がある。彼の肩書きは英国ロンドン大学政治経済学院名誉客員である。 その論評に私は共感を覚える事が多い。4月19日の「政治の軸にならない 貧困」という見出しの論評もそうであった。 彼は、先日発表された麻生首相の緊急経済対策について、小泉・竹中路線 から転向し、供給面の規制撤廃より、総需要刺激策のほうが景気対策にとって 必要だ、やっと麻生首相はそれに気づいたか、めでたい、めでたい、と皮肉 交じりに一応は歓迎してみせる。 私が注目したのは、その後に続く次のくだりだ。 彼は56.8兆円のうち、雇用対策費は4.4兆円、金融対策費はその十倍 の44.8兆円である、と指摘した上で、『麻生政権の関心の優先順位は そんなもんか』と失業者は怒らなければならないと言う。 そして、他の先進国、特にアングロサクソンの国でも、新自由主義に基づく 「制度改革」による不平等化は見られるが、日本で不思議な事は、この不平等 の問題が政党政治の重要な軸にならないことだ、と言う。 貧困関係の本が書店にあふれ、メディアの関心も外国に比べ強いにも かかわらず、日本では貧困・再配分の問題が政治論争の主要軸にならない、 という。 ドーア氏はその理由については何も書いていない。それどころか、この論評 を、「なぜだろう」という問いかけで終えている。 なぜだろうか。その答えは勿論私にもない。しかし私なりの考えを述べる 事はできる。 労働組合をバックに持つ社民党や共産党は、湯浅誠を自らの政党の候補者 としてなぜ取り込もうとしないのか。彼を政治家にさせ、間違いなくこれから もっと深刻になっていくこの国の雇用問題、所得格差問題について、政治の 主要軸と位置づけて闘って行く方針はないのだろうか。 湯浅誠は、もしそのような誘いを受けているのならば、みずからの ライフワークを完成させるためにも、彼の支持者と一緒に政治の場で活躍する 覚悟はないのか。 もし社民党や共産党のような既存政党に飽き足らないのであれば、湯浅新党 を立ち上げて政治に風穴をあける覚悟はないのか。 もし社民党や共産党が湯浅誠とその背後にいる派遣労働者を政治の中に 取り込もうとしないのなら、社民党や共産党の雇用対策、失業対策は口先だけ と言うことだ。政治を、貧困問題の真の解決よりも、自分たちの組織存続、 拡大を優先しているということだ。 もし湯浅誠が、あくまで政治から距離を置き、貧困問題の解決は政治家の 仕事だ、と突き放しているのなら、政治の力を過小評価しているということだ。 自らが政治家になったときに及ぼしうる影響力に気づいていないということだ。 はっきりしている事が一つある。貧困問題が政治の軸にならないようでは、 その真の解決はおぼつかないということである。 ───────── 天木直人のメールマガジン 2009年4月20日発行 第153号 発行者:天木直人 著者ブログ: http://www.amakiblog.com/ 読者の皆様からのメールをお待ちしております。このメールマガジンに返信 していただければ、著者まで届きます。

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