■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ 天木直人のメールマガジン 2009年4月18日発行 第150号 □■ ────────────────────────────────── ■ 誰が「総理」を決めるのか(最終回) アメリカの影響力と国民の力 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 誰が日本の首相を決めるのかというテーマの最終回はアメリカの影響力 と国民の力である。 果たして米国は日本の総理の決定にどこまで影響力を持ってきたのか。それを 証明できる証拠はあるのか。それを国民がどうはね返せるのか。 この問いに春名幹男名古屋大学大学院教授(元共同通信ワシントン支局長) は、SAPIO4月22日号の記事の中で次のように答えてくれている。 「私は過去20年間以上にわたり、米国立公文書館で大量の機密文書を渉猟 してきた。そして出したひとつの結論がある。 日本の政治家は、アメリカに疎んじられると首相になるには難しいし、もし 首相になれたとしても、長期的政権を維持できない、ということだ。 だが逆に、米政府に支持された首相は長期政権を維持し、成果もあげてきた。 それが歴史の真実である。その陰でCIAによる秘密工作の有無が囁かれてきた。」 そして春名氏は、彼が知り得た実例の数々を次のように紹介している。 まず米国が支援した首相の例として吉田茂、岸進介、佐藤栄作、中曽根康弘、 小泉純一郎をあげる。 すなわち吉田茂が1947年に高知県ではじめての衆議院選挙に臨んだ時、 米陸軍憲兵(MP)が演説をする吉田を護衛し、両脇を固める事によって、 「吉田は偉大な人物に違いない」と選挙民に思わせ、「当選の可能性を高め させた」。その事は米防諜部隊の秘密文書に残されているという。選挙カーの ガソリンまでも米軍から提供されていたという。 安保改定の岸や沖縄返還(密約)の佐藤を米国政府やCIAが支援していた事は もはや公然の秘密になっている。 中曽根康弘首相の場合もレーガン政権から信頼されていた事は皆が知っている が、その中曽根康弘首相でさえも「CIAはその事務所に盗聴器を仕掛けていた という話も聞いた」と春名氏は書いている。 そして小泉純一郎首相である。春名氏は言う。「吉田、岸、佐藤の三首相は 米政府から信用され、旧安保、安保改定、沖縄返還(密約)という大事業に取り 組むことができたが、(彼らはまた)情報機関との関係も維持した。佐藤は CIA高官から直接ブリーフィングを受けた・・・近年、CIAのブリーフィングを 直接聴いたことが分かっている首相に小泉純一郎氏がいる。小泉氏はブッシュ 大統領のテキサス州の私邸に泊まった際、翌朝一緒にCIAの大統領デイリー ・ブリーフを聴いた・・・ その一方で春名氏は、これらの首相とは対照的に、米政府は信頼しない首相に 対しては冷遇し、政権の運営を困難にした事実を次のように書いている。 まず中ソとの貿易拡大を主張する鳩山一郎内閣の発足にあたっては「不幸な 出来事だ」とアレン・ダレスCIA長官はアイゼンハワー大統領に報告。国務省が 駐日大使館に送った秘密電報にも「米国益のためにならない」と決め付けていた という。鳩山首相が進めた日ソ交渉の進展を憂慮し、鳩山が求めた安保改定や 小笠原諸島返還を一蹴した。重光葵外相の訪米を受け入れなかった。 その後を継いだ石橋湛山首相に対しても米国は強く警戒した。特に石橋政権 の対中貿易拡大方針に反対した。当時のパーソンズ国務省北東アジア部長は 英外交官に「石橋は長続きしない」と述べた記録が残っているという。 ロッキード事件で失脚した田中角栄もまた米国との折り合いが悪かった。 そこで小沢事件である。春名氏は政治家小沢一郎と米国との関係を次の ように解説している。 「・・・小沢氏は1980年代から90年代初めにかけて親米派として 日米電気通信交渉や日米構造問題協議のとりまとめに奔走した(春名氏は ここでは上げていないが湾岸戦争の際の対米支援を取り仕切ったのも 小沢一郎である)。当然ながら米側の小沢氏に対する信頼度は非常に高かった。 大胆に推測すれば、クリントン政権時代に小沢氏と米国の関係が大きく 悪化したと思う。当時の国家情報会議議長はジョゼフ・ナイ・ハーバード 大学教授。その部下としてアジアを担当していたのが同じくハーバード大学 教授のエズラ・ボーゲル。ボーゲル教授は小沢氏を『国家主義的』と警戒し、 遠ざけたといわれる・・・」 おりしもきょう(4月18日)の毎日新聞は、今年の初めにはやばやと駐日 大使が内定したと報じられたジョゼフ・ナイ氏の発令について、その後白紙に 戻ったと囁かれていた人事が、ついに固まってこの夏にも日本へ赴任する、 とスクープしていた。 いよいよ、オバマ大統領は本格的に日本への対米安保協力を強めてくると いうことだ。 上記の一連の春名氏の解説の中で私がもっとも注目したのが次のくだりである。 「私自身は、小沢秘書の立件に『アメリカの陰謀』はなかったと考えている。 現在の米国には、同盟国内の政治に干渉して秘密工作を行なう意図も能力も ないからだ。 だが、小沢氏自身も『アメリカの影』に恐れていた。政府・与党の幹部だった 時代、彼は番記者に、『CIAは私の行動を監視しているので注意しなければ』と 言っていたという。クリントン政権時代、日米包括協議で米側に『ノー』を 言った日本の閣僚の中には、米側の反発を恐れて悩む人もいた。自らCIAに 接触して、自分の政治的立場を説明するため『ご注進』に及んだ大物政治家もいた・・・」 私も春名氏と同様に今回の小沢事件の背景に米国の陰謀があったとは思わない。 しかし、「今の米国には内政干渉や秘密工作を行なう意図も能力もない」、 と言うのは、さすがの春名氏も言い過ぎだ。米国は自らの国益に反する事が あればいつでも内政干渉をしてくるし、秘密工作は当たり前である。 かつてのような露骨な内政干渉や秘密工作が無いとすれば、それはもはや日本 の占領は完成したということではないか。露骨な干渉や工作をする必要は、もはや 今の日本には必要ない、という事のほうがより正確なのではないか。 それにしても象徴的なのは、日本の指導者たちの対米従属ぶりである。 アメリカの影に脅え、こちらのほうから米国に迎合してしまう。 なぜそのような情けない事になるのか。それは国民に背を向けて、自らの 保身に汲々とするからである。 つねに国民に顔を向け、国民の支持を背景に対米外交をすれば何も米国を 恐れる事はない。米国は日本国民を敵にするような政策を取ることはない。 取ることは出来ない。 4回にわたって書いて来た、誰が「総理」を決めるのか、の結論は、 もはや自明であろう。もちろん我々国民が決めるのである。 天木直人のメールマガジン 2009年4月18日発行 第150号 発行者:天木直人 著者ブログ: http://www.amakiblog.com/ 読者の皆様からのメールをお待ちしております。このメールマガジンに返信 していただければ、著者まで届きます。 天木直人メルマガ懇親会のお知らせ。 現在までに確定した懇親会の案内です。最寄りの地に在住の方の参加を 歓迎します。 京都開催と東京開催についてはほぼ収容数に近づきました。参加ご希望の方は メールにてご一報ください。 新たに山梨開催(8月22日)と徳島開催(9月13日)が確定しました。 京都開催 日時 5月16日(土) 午後1時─5時 場所 キャンパスプラザ京都(JR京都駅烏丸口から西徒歩5分)2階 (収容80名) 集会名 天木直人メルマガ懇親会(以下同じ) 参加要領 メルマガの購読者を優先しその他一般開放(以下同じ) 参加費 会場代分担 一人当たり500円見当 東京開催 日時 5月31(日) 午後1時─5時 場所 高井戸地域区民センター(収容70名) 京王井の頭線高井戸駅徒歩3分、荻窪駅南口から関東バスで 4番 「芦花公園駅前入口行」「給田行」 高井戸駅下車 徒歩2分 参加費 無料 富山(高岡)開催 日時 6月10日(水) 午後1時─5時 場所 ビジネスイン高岡 4階研修室・会議室(収容45名) 富山県高岡市駅南 5-3-3 JR高岡駅南口徒歩1分 参加費 500円(会場代分担) 福岡開催 日時 6月14日(日) 午後1時─5時 場所 アクロス福岡 セミナー室2(収容70名) 福岡市中央区天神1-1-1 参加費 500円-1000円(会場代分担) 福島開催 日時 6月28日(日) 午後1時─5時 場所 郡山ビッグバレット(収容60名) 参加費 500円─1000円(会場代分担) 盛岡開催 日時 7月25日(土) 午後1時─5時 場所 いわて国保会館 せせらぎ(収容40名) 盛岡駅から徒歩5分 参加費 500円(会場代分担) ─────────

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